翠星のガルガンティア 第13話

 実は、チェインバーこそが主人公だったのでは?。
 いやまぁフツーに考えると、主役に助言や示唆を与えるというオラクル的立ち位置だけどね。あぁ、レドにはエイミーがいていゝなぁと羨ましく思うが、どう考えてもこの作品は人と人とのつながりの大切さみたいなのが主要なテーマではないだろうし、レドのビルドゥングスロマンにはなっているが、基本視聴者に作品世界を眺め渡すカメラの役割という要素が大きい。自分は初回を見て、先進文明の住人がローテク社会でどのように生きるべきか…とか、文明が行き着いた先にどのような衰退がおこるのかについてガルガンティアにその姿が提示されていて、文化人類学的な興味を抱いていたのだが、どうもそういう目論みは全然外れていた。中盤までについてもやれレドの生き方だとか、リジットの悩みだとか、やはり人間ドラマ的側面が大きく自分の目には写っていて、それはそれでよくできていたんだけど、主題を提示する舞台が破綻しないよう…というか魅力的に移るための仕掛けなんだろうなと。
 ストライカーとチェインバーのあり方はなんか今の日本の官僚制とあるべき官僚制の対置に見えておかしかった。いやまぁチェインバーはレドにとってのオラクルであり、別に日本の官僚は心で思っていても現実には崇拝なんて日本国民に所望してないんで、割と副次的な見方ではあるんだが、なんというかね。チェインバーも人格化して、その思考パターンを考えると笑える部分も多いが、自分が拠って立つものに敬意を表して行動を組み立てる様子は説得性が感じられる。
 自分は中学の頃ライトSFに嵌ってたので、この作品の主題がそのへんを重要視していたのが凄く嬉しかった。前半のゝんびりした流れもそれなりに浸れたのだが、後半の展開がクルクル変わるのにも楽しませてもらった。自分的には圧倒的に名作という感覚なのだが、さて、全年齢層に向けてお勧めできるのか?と言われたら残念ではあるが、やはり人を選ぶ作品だと思う。とはいえ、かなり面白かったですよ。こういう作品がどんどん作られて欲しいと思うけど、それほどの体力がアニメ業界には無いんだろうなぁ。とりあえずスタッフの皆様方には感謝を。