ルパン三世 〜隠された空中都市〜

 結局あの赤ん坊、誰だったんだ?。
 数年ぶりに劇場版?だかのルパン三世をチェックしてみた。全年齢対象のせいか陳腐に見えるところは如何ともしがたいんだけど、待田堂子もいるし、そういう作りなんだろう。
 話の筋は小国の(隠し)王女が自国の利権を握ろうとする資本家を追い出すのをルパン三世が助けるというまぁ王道といえば王道の筋立て。面白おかしく作ってあるのでそりゃないだろ的なところはあるのだが、逆のそういう手法を使ったのはなぜか?と考えると結構面白い。

  • 赤ん坊がリアリティ重視の造形。しかも正体が明かされていなかったような気がする。次元が育メン呼ばわりされていたから、そういう流れなのかね。
  • ルパンの予告・逃走が市民の支持を得て、衆目の元エンターテインメント化してたこと。ツールドフランスなんかに雰囲気が似てるっぽいんだが、まぁ日本でもマラソン・駅伝は観客も沿道で応援するしな。でも当人との接触具合はどうも欧米ライクらしい。ルパンは基本義賊なので、支持はわかるんだが、あそこで観客が警察に協力しないというのが素晴らしい。
  • CGを使っても、動きはリアリティを目指さないというのもおかしかった。まぁルパン三世の作風ではあるんで、そこを突っ込んでも仕方がないが、アルペジオを見てしまうとなんか技術の無駄遣いのような気がする。
  • ヒロインとルパンとの恋愛が極小。一瞬カリオストロの城を思い浮かべたんだけど、アレに見られたほのかな?恋心みたいなものはない。まぁこれはある意味リアリティではあるんだけど、こればかりは自分のアニメ脳を呪うしかない。お茶の間作品ということを考えるとこの方が適切。
  • ヒロインの属していた旧近衛兵集団アジトでの「今や規律だけではうまくいかない」の発言。ヒロインをかばっての台詞だが、発言者は直後集団を裏切るのが微妙。ヒロイン擁護で肯定なのか裏切り者がその後退場するから批判なのか今一分からん。一つの可能性として世の中の流れはそうなりつゝあるし、そうなっていくべきという主張だが、お茶の間で保守系の皆様方にそう悟られないような流れにしたとか。
  • 王政復古万歳の結末にはワロタ。たゞし、それがいけないとか言うつもりはない。いや、なんつーか、民主主義ってのはその社会を構成する民衆のレヴェルによって全体のレヴェルも規定されるので、バカの集まった民主主義はむしろ悪政を布く王政より性質が悪い。かといって王政も王が聡明なら良いのか?と言えば、それも違う場合が多々ある。民衆のレヴェルが低いと聡明な王ですら放逐される可能性がある。ましてや日本のエセ民主主義*1とか最悪の政体であるのに、その上、この前の民主盗政権の時には選挙制度による負託を利用して空き菅・野田が国民を騙した。そのへん、国の運営は実は民衆のレヴェルによるという構造はいちおうルパン達の敵として立ちふさがった王族の発言に見られるんだけど、王政復帰の〆の描写はあまりにもサラっと流されていて、これまた主張の仕方が面白かった。
  • まぁそのへん、やはり今回描かれたシャハルタという小国は全部とはいわないまでも日本のメタファーと考えるしかない。山がちな国土、高い技術力。王政を倒した革新も批判、外国利権とつるんで国有資産を売り払う保守も批判。王女と彼女を守る近衛兵団が語る誇りが胡散臭いが、よく聞けばその誇りは愛国心とは全然違うものであることがわかるし、サブタイにある宝物庫浮揚の際には、敵方の王族大臣ですら技術も財宝もあざ笑っていた。スッキリしないが、筋はキッチリ通している感じは受けたな。

*1:日本の場合民主主義に偽装した立憲君主制