ブラック★ロックシューター 第8話

 ヨミのあの赤色の髪のメッシュは一体?。
 うーん、なんか難しいな。現実世界に今までいたユウは、実は心象世界のストレングスと入れ替わっていて、じゃぁ、ユウ≠ストレングスかと言われると、ストレングスはユウの思念体だというし。しかし、壮絶な過去を持つユウがストレングスと入れ替わっているという構造は面白かったねぇ。確かに殺しあっている世界では先進国でのやゝこしい人間関係に煩わされることなく、ひたすら殺しあうのが正解だろう。自分が死ぬかもしれないという心配はあるけれど、殺しあう世界ではそれがあたりまえなんだからなぁ。よく貧しい国の子供は目が輝いているとか言って、やたら持ち上げる人がいたりするんだけど、そういう国では食べていくために精一杯で、複雑な社会や人間関係を考える必要もないってだけの話だわな。たゞ、この作品はその先進国での特有な精神病理について「ある」ってのを示しているだけで、それほど丁寧に構造を示しているわけでもない。…し、それをする必要もないんだよね。
 「傷ついても繋がりたい」ってのもね、いわゆるハリネズミのジレンマ問題を、相手の針が自分に刺さっても、反対に自分の針が相手に刺さろうとも、それでも近づいていこうという指針なんだろうか。まぁ中学生ぐらいならそれでもいゝんだろうけど、現実世界は下手すると、自分だけが傷つくってことも往々にしてよくあることだからな。というか、この作品のターゲット層であるところの、今ドキの中高生の学校社会での距離感ってのが今一よくわからん。最后のシーンを見ると、あんまあれほど急に互いの距離が近くなることってあるのかしらん?と思うわな。尺の問題もあるだろうし、この作品の主張が繋がりあうことであるからして、現実をトレースする必要はないが、子供社会も大人社会の反映でしかなく、その大人社会がドロップアウトしたら終了って世の中になっているからねぇ。だからこそユウはストレングスと棲む世界を交換したんだろうし。
 っつーわけで、本作は、スタッフの狙い通りの出来なんだろうケド、自分的にはわかりにくいというか、違和感が拭えなかった。現実世界と心象世界のリンクが今一はっきりしないのがどうもね。派手な演出を使える魔空間を作るってのは、それなりの層にはウけるんだろうけど、意味づけがされてないと陳腐化しそう。かといってリアリティを追求すると、本気で洒落にならないので、現実との乖離をどう設定するかだよな。自分はオッサンなんで、やはりこういうのは見てて気恥ずかしさが先にたってしまったということだと思う。
 よくよく見てみれば、話に連続性があって、決して心象世界が独立したものではないってことがわかる。で、端々に現れるテーマはなるほど、現代の社会問題に通じるものがあっていろいろ考えさせられることが多かった。決して抽象的過ぎてわかりにくいってことではないんだよね。だけども、自分の場合シーンの切り替えでその辺自分で整理がつかないまゝ話が進んでいったって感じかな。後から台詞や描写の意味をじっくり考えて、「あ、なるほど、こういうことが言いたいのか」というのがわかる程度で、そういう咀嚼の時間がないとたゞのイメージ重視のスタイリッシュを気取った作品と取られかねない。そういう意味では面白さは満載なのに惜しい作品といえよう。ちょっと辛めにおもろといったところか。