やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 第5話

 雪ノ下と由比ヶ浜メイドカフェでコスプレする必要はなかったのでは?。
 比企谷がクラスメートの問題をまたもや解決してしまうお話と、由比ヶ浜を泣かせてしまうお話。うーんまたもや二度見してしまった。この作品のオモロイところは、比企谷が主人公で、とっかゝりの出会いから雪ノ下がメインヒロインか?と思えば、どちらかというと比企谷に与えられる御褒美としてはむしろ由比ヶ浜がメインヒロインであること。しかも、比企谷のモノローグが多いことから、どうしても彼視点で物語を眺めてしまいがちなんだが、由比ヶ浜視点で人間関係を眺めるとこれも結構面白い。というより、彼女が何を思いながら行動しているのかという“動機”だよね。
 前回視聴して何で由比ヶ浜が飼い犬を助けてくれたことの礼を比企谷自身にしてなかったか?というのを考えていたんだけど、比企谷の言葉では「犬を助けてブランクができたゝめにクラスに馴染めずぼっちになった」のを由比ヶ浜が気にしているというのがポイントらしい。ファミレスでの彼女の対応を見ていると、比企谷妹には顔を合わせているはずなのに「はじめまして」と言っているし、そのことをヘンに思った比企谷妹に気まずそうにしてたような描写だった。そういうのを考えると、ぼっちである比企谷と仲が良いと周囲に思われるとクラス内や三浦グループには良く思われないってのがあるんかなとつい思ってしまう。が、比企谷は今回の比企谷菌のエピソードのように嫌われ者っていうよりは、誰も知る人がいない扱いなので、どうもそういうのも違うような気がするんだよね。
 前回で第1話のクッキーの話を考えてみたが、今回視聴すると由比ヶ浜の微妙な気持ちが想像できてオモロイ。ヘンな話、この作品のタイトルからしてラブコメと銘打っているのだが、驚くほどカップル描写がないんだよね。三浦と葉山がそれっぽいんだけど、テニスの描写でそうかなと思わせたぐらいで、それ以外三浦と葉山がいちゃついている場面がほとんど無い。由比ヶ浜が比企谷を好きなのであれば、なぜファミレスでの勉強会に呼ばなかったのかとか、彼女自身が自覚しているのか、それとも周囲との関係性を考えているがための対応なのか、まぁそういったおそらく本人にも確定の仕様が無い複雑な状態を表していて、そういうのをあれこれ考えるのが楽しいんだよな。
 さて、長くなりそうなんでポイントはあと一つにしときたいのだが、やはりオモロイのは、ぼっちを自称する比企谷が実はクラスの人間関係を解消する潤滑剤になっていること。人間観察に優れていそうな雪ノ下でもなく、周囲を気遣って険悪な雰囲気を作らずにコミュニケーションできそうな由比ヶ浜でもなく、彼こそが本質を見抜いてトラブルシュートしてるんだよね。そして助けられた人たちもそれをわかっていること。奉仕部のトップは雪ノ下で、一旦は彼女に依頼しているんだけど、助けているのは比企谷。で、おそらく助けられた人たちは彼に恩義を感じ、比企谷の依頼なら喜んで手伝うという状態になっている。それも自分が比企谷に助けられたから、その見返りとして仕方なくっていうんじゃなく、むしろ比企谷を信頼しているっていう風に見える。今回葉山が川崎調略に関わっていたが、もちろん実際に頼んだのは由比ヶ浜なんだろうケド、例えば失敗したときに比企谷が笑うわけだが、それを葉山はムカついているが表面に出さないようにしているという風な描写ではなかった。今回のヒキの由比ヶ浜の態度に見られるように、おそらく比企谷は彼自身が自分をぼっちと自嘲しているほど、周囲は彼をぼっちとは思っておらず、むしろ彼と仲良くなりたいと思っているような節が見られる。第1話での由比ヶ浜と三浦の対決でも、比企谷をしてザ・ゾーンと言わしめたあの葉山ですら効果的なリアクションを起こせなかったが、比企谷は立ち上がって仲裁を買って出ようとしたわけだ。教室を出た由比ヶ浜が声を張り上げていたんで、その様子は中にも伝わっていたに違いない。で、戸塚や川崎(や材木座?)の問題を解決してしまった。由比ヶ浜の問題を解決したのは功績のデカさからいうと雪ノ下であるので、由比ヶ浜が雪ノ下ベッタリなのはそうなんだが、でも彼女は比企谷のことを見所があるぐらいには思っているだろう。まぁ彼が主人公ではあるので、彼が活躍するという構造はそうなんだろうなとは思うが、今までのアウトサイダーこそが世界を救うという物語とはちょっと毛色が違う作品であることは間違いない。
 というわけで、なんか当たりといった感じだな。それこそ大きな物語ではないんだけど、せゝこましさをあまり感じないというか。比企谷の解決した問題ってのは、むしろ気の持ちようでどうとでもなるものであって、全然大したことはないんだけど、大きな物語で問題が解決してしまうときの爽快感とあまり変わらないものが味わえる。そうそう、川崎の声って@小清水亜美だった。あまり誰が声をあてゝいるのかそれほど気にもせず、聞いた事のない感じで新人か誰か?ぐらいの感じだった。声優道は険しいな。