やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 第12話

 片目を瞑るのは何かの合図なのか?。
 比企谷の尽力と、雪ノ下の自我獲得。うーん、これで終わりなのか。まぁ確かにきれいにまとまってはいるよな。こういう話だから人を選ぶんだろうが、引っ掛けられたのは必ず釣り上げられるだろうから、視聴した層の評価は高いと思うが、それで続編が作られるということは無いと考えたほうがよさそう。
 実際に働くとか、人間関係のいざこざに巻き込まれて解決した人あたりは大体比企谷に共感できるとは思うんだが、上っ面を撫でるだけの人だと案外比企谷への評価は低いかもしれないな。あと、経営層、勘違い管理職あたりは誤読しそうだな。比企谷の相模への台詞は、相模が普段から比企谷を見下しているという構造があるから効果があるのであって、あれを逆の立場でやると組織は速やかに崩壊する。即ち、経営層や管理職が比企谷の台詞を部下あたりにしゃべる場合ね。しかも経営層や管理職がそれを正当化するとさらに状況が悪化する。比企谷はそういう関係性をおそらくわかった上で相模に言ってるわけで、そこまで読むとかなり深いものがある。葉山の登場も大概御都合主義だが、彼の役割も考えると面白い。大抵IFを考えるとわかりやすいと思うんだが、葉山の促しだけだと相模はおそらく自分の立場のあやふやさから一歩を踏み出すことができなかったハズ。葉山がやっていることは客を誘導することでしかなくて、あの場のミッションは相模に仕事をさせること。比企谷は相模が仕事ではなく名誉を求めてるという事実を突きつけ、葉山もしくは相模の取り巻きの役割は、(実は相模の逃げを知ってはいるのだが)それを否定する道筋をつけること。もちろん比企谷と相模の二人だけだとやりとりは平行線を辿るだけだから連れ戻すことはできなかったろう。こゝまで詳しく説明しなくてもほとんどの方はわかっていることなんだが、まさに陽乃の言ったとおり、比企谷はヒール役を演じ、葉山はそれを利用して相模を誘導したという構図になっている。但し、葉山のいらつきが、比企谷が自分を傷付けなくてもよいと思っているからなのか、それとも他にスマートなやり方があって、それをしなかった比企谷を非難しているのか、この描写だけではわからないこと。これも罪なことで、一般人は大抵後者のように、無責任に、なにか魔法のような解決法があると勘違いしている場合が多い。これを事実上の最終回に持ってきたのは、それなりに意味のありそうなことである。
 結構ドッキリさせられたのは、奉仕部での比企谷の雪ノ下への却下された提案。自分的には唐突ではあるが、あれ、「つきあってくれ」とでも言うのかと思った。その後の展開で、言おうとした台詞は「友達になってくれ」であるらしいのだが、よーわからん。雪ノ下は友達ではイヤで、それ以上の関係になりたいからこそ却下したのかもしれないしな。そのへん続刊をちぇっくしないと…ってことなのか。かといって比企谷は雪ノ下に女としての魅力というよりは、彼女独自の考え方などの個性に惹かれているっぽいし、それは確かに友達としてという意味に近い。かといって比企谷は由比ヶ浜に女としての魅力は感じつゝも、人間として意見を戦わせるだけの魅力は感じていなさそうだしな。対して雪ノ下は未だ他人との距離を取りつゝも、自分を支えてくれた比企谷は友達以上の存在だろう。但し、それは恋愛感情というよりも恩人といったほうが近そうに感じた。前半は比企谷と由比ヶ浜の距離が近くて、その描写が多かったのだが、後半というよりはラスト数話は雪ノ下にスポットライトが当たっていて、戸惑いってほどではないんだけど、なんか引っかゝる感じがしてしまった。いや、それもおそらく続編が作られない(かも)という前提で、キャラをある程度掘り下げる話作りと考えれば、それはそれでバランスがとれてはいる。
 うーん、しかしなんだな、この作品を視聴する前は、もうちょっと人間関係のハンドリングについて目新しいことがあるのかな?と思っていたんだけど、要素自体はかなりありふれたものゝ組み合わせだったな。だからといってこの作品の評価が下がるとかそんなのはないんだけど、逆説的にいうと、それだけ社会がおかしくなってるんだろうなと感じざるを得ない。ヘンな話、比企谷は、一昔…では新しすぎるな…数十年前だったら日常のオラクルとして存在価値が認められていたはずで、彼のような人間が今ではこういう扱いなんですよ…というこの描写こそがこの作品の言いたかったことなのかもしれないし。一般層が反知性主義のモブとして描かれていることからも、そういうことなんかなと思わなくもない。
 番外編とは銘打っていても、やはり全体として一つの作品なんだから、最終回を視聴した上での評価をしなくちゃではあるんだけど、いちおうおもろ+ということで。まだガルパンの総評もしてないから、思い立ったときに評価しとかなくちゃ。まぁ徹底的に比企谷を中心とした同心円状に各キャラが配置されて、物語は比企谷との距離をどう詰めていくのかに終始していたように思う。由比ヶ浜はフツーにかわいかったし、三浦はもうちょっと出番が欲しかったかな。視聴してしまったら案外普通のドラマでちょっと拍子抜け。但し、見ていて結構考えさせられる場面が多かった。退屈しないというより惹き付けられるんだよね。やっぱ原作に当たらないとダメなのか。でも荷物増やしたくないんだよな…。