ネット投稿小説、やっぱ気になる人多いんだね

 「小説家になろう」の三大人気要素と書籍化作品の傾向 - フラン☆Skin はてな支店 
 を読んでみると、よくまとまっていた。小説家になろうのサイトでは、お気に入りの小説が4〜5ほどあって、なんか自分はかなり楽しみにしている。こんな妄想良く楽しめるなとか思いながらもね。

異世界・転生(転移)・チーレム」

濃いキャラクターたちの群像劇
練りこまれた世界観の設定による物語の奥深さ
社会的な問題を痛快に解決

 とあって、そうそう、そうなんだよとか思うんだけど、

「傍から見て呆れるような人気要素でも、結局作者の料理次第で面白くなる」

 とまとめられており、まぁそれもそうなんだけど、自分的には結局のところ、「みんな疲れているんだよ」と思わざるを得ない。
 まぁ本当に主人公を孤独にしちゃったら読者にそっぽを向かれるんだが、これらの小説はやたら主人公に理解力のある周囲ってのがある。近所しかり、それぞれの活躍舞台しかり。なんか現代ではあたりまえになってしまった理不尽な上司にあたるキャラが見当たらないのが特徴だ。敵がいるにはいるが、そういうのは自分の居場所から排除されており、大抵自分に優しい世界で自分が能力を発揮するってことになってる。
 なんかこれらの小説に共通して違和感があるというか、あゝそうなんだろうなと思うのは、それらは近代が失わせたものであるってことなんだよな。近代ってのは地縁・血縁を破壊して、個人を孤立させて産業に駆り立てるということをずっとやってきたわけで、やれ優しさだとかそんなのは“カネ”にならなければ切り捨てられるものでしかない。しかも、小説世界では、近代的手法だの近代がもたらしたもので問題解決をやっちゃうもんだから、業が深いというか。いや、もちろん、中世的なものを近代が改良してきたという側面は大きいので流れとしては自然だし、むしろ近代的手法をどう使うべきなのかということに関して示唆を与えてくれるものではあるんで、一概に否定されるべきものだとも思わないんだけどねぇ。
 作家の年齢層がわかんないのだが、おそらく「理想のヒモ生活」の人は社会人だろうし、社会問題に対して深いものを書いている人は年齢層高めなんだろうね。でも大学生っぽい人もいて、そういう作品をおっさんである自分が読んでもあまり断絶を感じない。で、大学生といえばあんまり前近代的価値観について実感を持ってなさそうなんだけどね。そのへんどういう体験をしてるんかなと気になる。
 しかし、こういう小説を類似品が多いにも拘らず魅力を感じて執筆する人が次から次へと出て来、またそれを喜んで読む層が決して少なくないというのもかなり末期的な感じがする。いや、自分もわだかまりがないわけではないけど、積極的に肯定して読んでいる読者の一人だし。
 浮世の世知辛さに嫌気が差し、世捨て人になりたいと望むものゝ、人との接触が断たれるのも嫌であって、存在感の一つや二つも欲しい、でも現実に糞みたいな構造を変化させるだけの力もないし、よい方向に持っていこうとする気力はさらさら無くってという、まぁ社会的に無責任と言われたら「ハァそうですか」と言うしかないんだが、でも今まで不利益を蒙ってきて権力構造の転換も望めないのに、思い込みでツッコんで喰いモノにされるってのもなんだかなぁで。そりゃ妄想といわれても、こういう小説世界でのんびり暮らしたいよという望みをなんでそうバカにできるもんかね、ある意味理想社会なんだからそういうのを目指すのが本筋じゃないかねとも思う今日この頃。