アクセル・ワールド 第16話

 2、3にthはないだろ。
 ハルユキ回復編。もうちょっと挫折期を長く取るかと思ってたが、案外早いな。まぁ今ドキの視聴者のことだから、長くしちゃうと見切っちゃうのがでるとかそういう判断か。挫折期というか修行期ってのは回復やスキル上達だけじゃなくって、よりよい人間関係の構築も含まれていたりするので、そういうのも欲しいと思ってしまうが、修行モードがメインだからね。ストーリー構成として、対能美での敗戦、挫折、回復、そしておそらく次回で再戦だから順当ではある。順当ではあるんだけど、スカイ・レイカーが対能美対策で慌しく利用されたゞけって印象が残っちゃうから、もう少しゆっくりしてってもって思ってしまうが、尺も考えねばならずで、そこらへん自分の我儘でしかないんだよね。
 しかし、スカイ・レイカー、深すぎる。黒雪姫の友人ってことだから、おそらく彼女も中学生であるはず。それであの達観かよ。前回述べたアッシュ・ローラーをバーストリンク世界に招待したことゝいゝ、人格レヴェルがとてつもないように感じる。塔のてっぺんにいて静かに暮らしているって状態だから、普段からバトルをしないのにバーストリンク世界にログインしてるんだろ。翼を取られた一件は黒雪姫は知らないから、おそらくスカイ・レイカーは旧友の黒雪姫のレギオンを注意深く見守っていて、ハルユキの一件も一部始終観察していて、ハルユキを助けるためにわざわざアッシュ・ローラーと対戦するよう仕向けて、彼に連れてくるよう手配していたと考えるほかない。さすが自分で絆というだけのことはある。現実での義足状態がありながら、ゲーム世界で飛ぶために両足を切り落とすという決断にもいろいろ考えさせられる。
 現実の書き換え云々もなかなか胸にクるものがあった。現実の物理現象をひっくり返すのはムリだが、加速世界が例えば前回言ったとおりの職業のメタファーであれば、なんとなくわかる気がする。その職種での目的達成の手段ってのは割とイメージをどう具体化するかに拠るところが大きいんだよね。仕事でのいろいろな手順・スキルってのは仕事だけで通用するものが多くって人間が生きていくうえでも決して役立つものであるとも限らなくって、これがゲームルールの非現実性とよく似通っている。原作者は決してゲーム世界での辻褄あわせやご都合主義を提示しているのではなく、概念レヴェルで現実との整合性を作っているように思える。普通代表作2作だけで累計1000万部も売れるってそうそうないことなんだけど、このゲーム世界を題材としながら普遍性をも語るという要素がおそらく社会人の購買層が少なからずいることを類推させてしまう。作者も社会人をやっていて、ネット上の発表からの作家デビューなんで、今までの人生経験から生み出されてきたものが今我々の目に触れているってことなんだと思うね。
 ハルユキの翼だが、黒雪姫に示唆されて速さを追及しているときに腕に変化があったから、そのへんで空を飛ぶのかも。OP絵もよく見ると今回のクライミング最終局面のシーンと同じ描写だったからそういう流れなのか。