アクセル・ワールド 第15話

 OP動画でアッシュ・ローラーと2ケツしていたシーンを前回はなんで?と思っていたのだが。
 うーん、なんだろ?、SAOが社会人向けと書いたのだが、じゃぁこのAWが劣るってわけでもないのがオモロイな。よくよく考えてみれば、バーストリンク世界ってのはむしろ社会人にとっての「仕事」にあたるものと考えられるわけだ。ハルユキとタクム、チユリの関係というより、AWのリアルな関係は仕事抜きの友人関係であって、AWは仕事とプライベートが割とはっきり分けられている物語、SAOはその境界がはっきりしない物語と捉えることができるだろう。自分なんかは昭和までの終身雇用があたりまえであった昭和の感覚が抜けないので、どうしてもSAOのような職住環境が一致しているような世界観になじみを感じてしまうんだろうな。SAOは仕事がなくなれば生活も成り立たなくなるという厳しさが前提だが、AWは仕事がなくなっても横のつながりでなんとか暮らしていける…というより、現実には横のつながりで仕事も融通しあったりして、どこの会社に属しているかというのにそれほど価値はないというものだろう。いくら自分がSAOの世界観になじみがあるからといっても、社会情勢を見る限り大企業ですら追い出し部屋で社員を切り捨てゝいる現状がある以上、これから実際にはフェードアウトしていく価値観なんだろうね。
 アッシュ・ローラーがいゝお兄さんぶりで、いや新OP絵を見たらその予感はしてたんだが、なにせ曲が終わる寸前だったから、再登場時期もゝっとあとだと思ってたんだよ。初回の彼の態度からすると自己中心的な人物なんじゃないかと思ってたんだが、なんてミスリード。もう、今回のシルバー・クロウの腑抜けた態度に最初っから見せた人懐っこさとか、違和感がありまくり。しかもこのAWではアバターの声もリアルな人の地がそのまゝ出る*1って仕組みだから、今回初登場のスカイ・レイカーが親としてアッシュ・ローラーをこのバーストリンク世界に招待したということになるわけで、これがビックリだよな。
 残り話数を念頭に入れながら視聴するのもなんだかなぁではあるんだが、OP絵で、割とクライマックス時期に能美がかなりの時間を占めていたわけで、あと数話続いてから他の新キャラのお話に移行するのかなと。能美の子分も登場して大体この2クール目の半分を占めるってところか。2クールという長さでのこのタイミングは、終盤の主人公の開花前の試練ってステージであるわけで、こゝの重要度は高いハズ。物語である以上、能美は倒されるべき役柄ではあるので、「どうせ解決されるんだろ」みたいな感覚はどうしても拭えない*2んだけど、まぁそれいっちゃぁお話にならないからな。
 さて、ハルユキが空を飛べないということで、自信をすっかりなくしてしまっているが、別に戦いは空を飛ばなくてもできるわけであり、というか今まで飛べるのはカレ一人だけだったわけで、他の全員は空を飛ばずに戦っているわけで、そんなに気落ちするほどのものでもないはず。しかし、バーストリンク世界が職場のメタファーだとすると、仕事の手段を奪われたわけであり、なるほど絶望するのも頷ける。でもどうなんだろ?、物語の構造として、能美が倒されたとしても飛行アビリティは返ってくるんだろうか?。まさにOPのクライマックスではタクムと共に戦う場面では羽が無く、というか飛ぶシーンが無く、羽が光る場面が一瞬あるだけ。
 川原礫とか、このAWとSAOの対比を見る限り面白い作家だな。AWは芝居的な展開が多くてどうしても子供っぽさを雰囲気として感じてしまうんだけど、ちゃんと社会との対応関係が考えられているのを感じる。両方ともまだ作品が継続中で、Wikipediaなどを見るとこの2作品だけらしい。しかし、総計で1000万部売れたらしいので、仮に一冊あたりの印税が50円でも5億の収入、税金で半分さっぴかれても2億5千万は入っているわけだ。これって生涯所得すでに稼いでしまっているよねと思うとうらやましい限り。いやそれはともかく、原作者がこの2冊に同時進行とはいえ集中しているのを考えると、誠実さというか真剣さを感じずにはいられない。

*1:ニコが猫かぶりでなくて親分肌の喋り方をしていることから察すると

*2:現実社会では物語のようには解決しない。世間では報道されるよりはるかにイジメが多いのを考えてみればよい