ちはやふる2 第3話

 机君の成長にビックリ。
 今回はちょっとリアリティが気になったな。筑波のオーダー書き換えだとか、出ないと思っていた菫のやる気だとか、前回新入生の二人はゆとり世代のメタファーだと述べたが、で、そういうの以前に筑波の書き換えは現実としてありえないだろうし、菫のやる気は出来過ぎ。たいていどちらもいじけてしまうような気がするが、机君の配慮がいくら素晴らしいからといってあんなにうまくいくとも思えない。が、この作品はあくまで美しいところを切り取ってみせるというスタイルなんで、こういう動かし方はまぁ慣れたというか。主力三人に休みが無くでづっぱりという表現をとるなんて、いくら机君が頭がいゝからといって、やっぱ成長しすぎのような。
 そういう構造を頭に入れておくと、奏の一年生の存在がチームを強くしたというのもやはりできすぎと思わざるを得ないんだよな。一年の存在が結果として足を引っ張る可能性もあったわけだが、一番良い結果を提示。なにはともあれ一年を指導すべしという千早、一年はどうでもよくて二年が結果を残すことが重要といった太一、両極端ではないが一年には好きにさせとけという肉まん君らの多様な意見を紹介してたので、なるほど千早の選択が当たったという形にはなっているんだが、本当は別の結果もありうるんだよって消極的な可能性の提示もしていたとみたほうがよいだろう。いづれにしても自分達が強くなるための一環として新入生の指導云々という打算は千早にはなかったという描写なのが気になる。彼らはかるた部創設メムバーなので、先輩から指導を受けて嬉しかったゞのといった経験が無い。無いんだけども自主的な活動を進んで行っているからこそ自分達の部の運営に対する考え方も違っているとは思うんだが、かといって自らの成長のために新入生を指導することに意義があるという考えに普通は至らないだろうし、そういう考えであるという描写でもない。これが大学の同好会だとかサークルという形だったら、というか彼らがそういうつもりでかるた部を作ったのであったら、自分達がかるたを楽しんで、自分達だけで大会に向けて頑張る姿を描くはず。まぁ間違いなく、そういうのを超越した、理想の組織像を描いている。宮内先生の姿も生徒に対する理解という単純なものではない。前回は引率に別教員を用意してたぐらいだから、今回の東京予選もそうしてもよいはず。そうしないというのは、結局実務はほとんど現場に任せ、顧問の役割としては外部からの干渉をシャットアウトし見守ることに徹するという、これまた理想の上司・管理職の姿を描いているとみたほうが良い。
 なんていうのかな、昨日の夏色キセキでも思ったんだけど、基本構造がポエムなんだよな。だからリアリティが無いと不満に思うのは実は筋違い。現実に存在するどうしようもないリアリティを超越するために、こういう形で語られていると考えるべきなんだろうね。