ベン・トー 総評。

 なんか難しいな。というより自分の頭の中での整理がつかない。物語の登場人物たちは半額弁当を目指して死闘を繰り広げるから、経済的弱者のメタファーだろうとは思うんだけど、じゃぁ社会的弱者なのか?と言われゝば、あの運動能力からするとちょっと違うような気はする。もちろん金欠の佐藤やどうもいじめられっこな白粉とか、槍水は一人暮らしとか、何か欠けている存在ということにはなっているのだが、かといってアウトローって程でもない。
 自分が中高生の頃だったら、バーゲンセールで特価品に群がるオバちゃんってのはあさましいものという認識であって、この半額弁当戦もその延長線上にあるんじゃないかと思っていた。まぁ自分も仕事帰りにスーパーによって、弁当が半額だとラッキーとばかりに購入するのではあるが、なんか半額目的というのもなんだかなぁといった感じで。まぁおそらく作者的には上記オバちゃんの様相がモチーフになって、それが経済不況の日本での有様を背景に、敬意と矜持をミックスさせたという感じのものではあろう。
 で、一歩間違うと、ホームレスが廃棄処分になった弁当をゴミ箱から漁るという段階まで行ってしまえば洒落にならなくなる。そのへんのバランスは考えられている模様。
 というわけで、やはりまとまりはないのだが、半額弁当をネタにこれだけ話を展開させるというアイデアや力量は素直に感心した。が、いろいろなエピソードを混ぜこぜにしたおかげで、結局何が言いたかったのか、わからなくもないけど、一本筋の通った何かゞ欲しかったところではある。いろいろ突き抜けたキャラは魅力的だったし、熱い志は胸にクるものはあった。ちょっと物足りない感はあったが、素材をこゝまで生かしたという取り組みは素直に評価したい。個人的には好きな作品ではありましたよと。おもろ。