なんか維新の怪の推移がNSに似てきているという不気味さについて。

 やっぱ橋下は歴史を勉強してるのかなと思わなくもない。最近維新関連の記事が多すぎて、なんか食傷気味だ。基本的に維新の怪が政権をとることには反対の立場なんだけど、別に自分がそうだからといってそうなるわけでもなく、取り留めも無いことをメモしておく。
 そもそも橋下が府知事になるときはまた芸人が政治屋めざして…という感じではあったのだが、略歴を見て実は期待感も抱いていたのだ。まぁ結局府知事になって以降の彼の言動があまりに差別的なので、これはいかんだろという立場にスグなった。
 そんなわけで、維新の怪のデタラメな記事を見てもあぁまたかってなもんで、とにかく毛嫌いしてたんだけど、彼が被差別部落出身だというのを目にしてちょっと見方が変わった。いろいろ腑に落ちる部分があったのだ。それは彼がその出身ゆえに考えが御下劣…というのではなく、むしろ逆に感じたのだ。彼の高校時代のエピソードを目にしても、やりたい放題やっても転げ落ちていないことを見ても明らかなんだが、かなり彼は頭が切れる。そして弁護士になったということからおそらく彼はもともと弱者の味方の立場だったんだろうなと思われるのだ。そしてその部分は今でも持っているのかもと思わなくも無い。
 で、もしそうなら、なぜ彼が政治屋になってあれもこれも弱者をイジメるような言動をするのか?ということなんだが、これは彼の弁護士時代、そして弁護士に到るまでに、彼はおそらく「助けようとした弱者・助けた弱者に恩を仇で返される」経験をたくさんしたんじゃないかと想像するのだ。まぁ今の時代恵まれた人ならともかく、社会人であればこの殺伐とした時代、たくさんの人が同じような目にあっていると思うのだが、困っているから助けてくれという連中や、困っていそうな連中に手を差し伸べて、もちろん感謝される場合もあるのだが、かなりの確率で恩を仇で返される経験をした人もいるんじゃないだろうか?。そのような連中が困っているのには実は理由があって、まともな人間はそもそも困るようなハメには陥っていないし、ちゃんと人と人との距離のとり方を心得ていてフツーに付き合える。橋下が人助けとして弁護士になったのなら、その志を利用されて振り回されたことが数多くあるのだろう。そう、クズにつきあってもロクなことはないのだと彼が結論付けてもおかしくない。それでもそういう自分に寄ってくるクズではない、本当に困っていそうな弱者はたくさんいて、そういうのは助けを求めたらまともな人を巻き込んでしまうとか、距離の適切な人であればやはり寄ってこないだとかで、声を上げることが出来ない。橋下はそういうクズな弱者と声を上げられない弱者との切り分けをしたうえで、やはり世直しは必要だと考えて政治屋に転向したんじゃないかと思うのである。
 で、世襲政治屋と違って地盤もカネも無い彼が、その素地作りに目指したのが知事であり市長なんだろう。で、彼が賢いのは、政党を考えたときに、それは弱者救済を主眼にしてはいけないこと、既存政党に入るんだったら、彼の出自を考えると浮き上がる目はないということを冷静にわかっていたことだ。弱者救済を掲げた旧社会党共産党社民党のような活動をしてたらとても与党になれないのは戦後といわず近代日本の歴史をみれば一目瞭然だ。たいていカネ持ちの味方、国民から搾取を行う政党が政権をとっている。彼もマスゴミの事情は知っているだろうから、合衆国が日本の政治に深く関与していることは知っているだろうし、そうなるといくら弱者救済の党が国民に支持されたとしても、その党は大きくなる前に必ず合衆国につぶされる。
 既存政党と言えば自民盗だが、彼にとってこれは論外だ。なにせ麻生太郎野中広務を部落出身だから総理大臣にさせないとまで豪語したわけだ。自民盗は天皇との関係性を重視している。森だって日本は天皇を中心とする神の国という発言をしたし、麻生太郎に到っては皇室との姻族関係を持っている。天皇に近いことが自分の地位が高いという構造を維持することで権力を強化しているわけだ。事実麻生は総理大臣になったし、森だって総理大臣だった。なにせ総理大臣は戦後の世になっても天皇が任命する最高の役職なのだ。自民盗が出自を理由に差別を公然とおこなう政党なのに、そんなところに橋下が入ったとして目が出るはずが無い。もちろんこの構造は政官財で強固だ。週刊朝日で彼の出自が明らかにされた前後で、維新の怪にたいするバッシング記事がマスゴミによってかなり出されたが、それも天皇を中心とする階級構造を支持する層によって行われた可能性が高い。
 ヘンな話、自分は彼の出自を知って惜しいと思ったぐらいだ。彼が弱者に対してあれだけ苛烈でなかったら、彼が総理大臣になることには大きな意味が付加される。上記の通り総理大臣は天皇が任命するので、彼が総理大臣になれば天皇が部落出身者を世俗のNo.1として認めるという日本史上前代未聞のことが起きるのだ。これは実は今までの差別構造を壊すと言う意味でかなり喜ばしいことだと思うのだ。で、実は天皇はそのことについて快く認める可能性が高いのだ。天皇を頂点として部落出身者を日本人の最下層とする階級構造は、部落史が正しければ、天皇は利用されただけで階級構造を作った本人ではない。平安期や鎌倉期は社会的に差別された人間はいただろうが、基本貴族が天皇に群がってそのほかの人間はほったらかしといったところだろう。室町あたりから意図的に被差別階級を作って統治に生かすことが行われたと考えられるが、それは統治の能力が失われた天皇ではなく、武士階級によって作られたと考えるほうが妥当性があるように思われる。まぁ明治維新でも結局のところ元勲は薩長の武士階級で、彼らが牛耳ったし、各藩の大名は貴族に列せられたわけで、そういうのが敗戦まで続いたし、実は敗戦後も続いた。で、天皇にしてみれば、明治の元勲あたりには感謝しているだろうが、昭和初期からの帝国陸軍政治屋あたりは戦後信用ならなかったんじゃないかと思うのである。昭和天皇は皇太子時代だったか、イギリスに行っているし日英同盟が日本を興隆させたと考えていただろうが、陸軍の連中が天皇の御心だというのを悪用して日米戦争に突入して見事国を滅ぼしてくれたのだ。天皇に近いということを利用して好き勝手する連中を快く思っているはずが無く、そういう連中が差別階級を作って美味い汁を吸っている様子を見て、それが天皇の権力強化につながるのならともかく、日本分断化に直結しているわけだから快く思っていない可能性はある。で、戦前の議会で財閥に買収されてロクな政治も出来なかった連中、日本を無謀な戦争に追いやって滅亡させた軍隊の連中が揃いも揃って自民盗に勢揃いなわけで、まぁなんというか…である。そしてそういう構造が3年前の政権交代まで続いていたのだ。まぁ現天皇が橋下を総理大臣にしたくないという積極的な理由は無いだろう。
 で、そのへん橋下もちゃっかりしたもんで、例の国旗国家に異常な執着心を示すのもその準備なんだと考えるとわかりやすい。天皇に敵意は無いんですよというだけではアピール不足なんだろう。
 あと、大阪愚民の力も大きい。木下籐吉郎だが、彼は被差別部落出身だという説もあるぐらいで、彼が実質天下を取ったというのにあやかりたいという気持ちがある。彼は征夷大将軍にならず、貴族のトップに立つことで栄華を極めるわけなんだが、それというのも彼は徳川と違って武士という戦闘集団をまとめるのに統制を使わず、おそらく彼自身その才があったと思われる経済力で国をまとめていたわけで、そしてそれが大阪を商業の町として発展させたということもあって、今の経済としてのNo.1の地位を東京に奪われていてそれがいたく大阪愚民のプライドを傷つけているというのも一理あるだろう。橋下の大阪都構想もその大阪愚民のくすぐりどころをうまくついた煽動で、これも舌を巻くしかない。最近都構想棚上げだという記事を目にしたが、橋下が十分な支持を得たら都構想なんて別にどうでもいゝことであって、捨てゝも惜しくない程度のもんだったんだろう。
 で、能力的に見ると、あぁ、確かに、世襲ということで本人は極めてボンクラであるところの子鼠・安倍・麻生・鳩山、口だけは達者だが、別に総理大臣にならないとやれない仕事があったわけでもない空き菅や野田に比べれば、志も能力もはるかに高いとは思うんだよ。で、この状況が戦争に負けて意気消沈のドイツ国民のプライドを刺激して、国民の中に被差別対象を設けて徹底的に差別してその他の国民の溜飲を下げ、カネのためならユダヤの力も借りたヒトラーのやりかたに酷似してきたように思うんだよな。もちろん状況は違うけどね。でも状況が違うからこそって部分もある。おそらく橋下がヒトラーに近い手法をとったとしても、合衆国からのくびきを脱することはかなり困難だろうし、自滅戦争はせずに済む可能性が高い。でも彼が政権をとったら、そこに到来するのは確実にギスギスした社会なんだろうなとは思っている。なんともねぇ。