ゼロの使い魔F 第6話

 たしかにテコ入れ回なんだけど…
 前回も触れたとおり、明日にも知れぬ命で後悔する人生を送りたくないというメッセージがひたすら胸を打ってくる。今回なんてエロ要素を散りばめたハーレムを意味深な会話で修飾した媚び媚びな作りと言ってしまってもおかしくないし、そういう目で見ている視聴者も居るだろう。が、本来なら恥じらいもある乙女達が、きっと自分なんて振り向いてもらえないという可能性が高いのに、少しでも興味を持ってもらえるのなら体を武器にするのも厭わないというのが、隠微さよりは悲痛な感じで伝わってくるようなのだ。
 才人は確かに成長しており、人を思い遣って思わず行動してしまうところなんて女の目に魅力的に映ってもおかしくないのではあるが、でも大人というにはまだまだである。思いが強いだけでまだ思慮に欠ける。銀翼のファムはむしろ完成された人格なんだけど、才人は突き抜け方が足りない。そしてなによりルイーズの未熟さが目立つ。彼女のあり方に比べれば、タバサやアンリエッタ、シエスタのほうがずっと大人だ。周囲の彼女達は才人とルイーズの繋がりを最大限尊重しており、かつ人間としての魅力・個性はルイーズと比較にならないぐらい高いのだ。タバサが言っている通り、周囲の女性がルイーズに気兼ねをしなかったら、一瞬で奪ってしまうぐらいのポテンシャルは持ち合わせている。いざ冷静に考えると、才人がルイーズになぜ惚れるのかちっとも理解できない。そういう風にみてみると、これは予定調和以外の何者でもないんだが、でもその予定調和がなんとも心地よい。
 まぁ物語的には今のところ才人&ルイーズ以外の友人全員は主人公が道に迷ったときのオラクルという構造になってはいるんだが、かといってそれほど説教臭くもない。もったいないよな。人格的には主人公より人間ができているキャラがどいつもこいつもよろこんで踏み台になってくれているわけなんだから。それでもルイーズあたりは状況判断能力が低くて癇癪を起こしてバッカなわけだろ。でも彼女が爆発しなけりゃ途端に堅苦しくなってしまうので、バランスはよくよく考えられている。
 で、日本ってこういう走れメロス的爽やかな決着が好きなんだろうなと思わざるを得ない。自分が数海外のテキスト作品を目にしているわけでもないんだが、大抵キャットファイトってのは人間の持つ獣性を楽しむモノだったりするだろ?。どちらかゞ勝ってスッキリさせるものが多いというか。でも日本の物語上の喧嘩って大抵落としどころが決まっているものが多い。まぁアニメなんてそうそう突き抜けてもいられないだろうし、日本だと実写ドラマよりアニメのほうが全年齢層に理想を語るメディアになってしまっているので、さもありなんっていったところか。まぁ少子化対策としてのステマという要素は相変わらず強くて、それだけは鼻についてしまうんだけど、なんのかんの言って、この作品を落ち着いて楽しんでいる自分がいることにビックリする。