異国迷路のクロワーゼ 第4話

 そっか、あの時代のパリでは水が貴重品だったんだな。
 セーヌ河の名前を耳にするので、水に困っているようなイメージじゃないんだがな。たゞ、アパートの上の階のほうが高い部屋ってのは最近の話らしくて、昔は水道がなく、水を自分で汲み上げなきゃならなかったから上の階のほうが不便で家賃が安かったらしい…使用人を使えなかった庶民では。っていうのをやる夫ヴィクトリア朝で読んだ気がする。
 新キャラアリスの登場なんだが、いけすかない俗物って描写だったな。といっても快活であって、底意地の悪さはあまり感じない。カネ持ち特有の全能感にあふれているだけで、単に自分が見えてないだけなんだろう。湯音にパリの街を案内するのにも自慢話ばかり(実際には他の話もしたんだろうけど、視聴者への紹介のためそういう部分を敢えて見せたってことだと思うが)で、モノで関心を買うって態度がもうね。
 まぁ形見のキモノで揺れるような湯音ではないというのは視聴者にはわかっていることだと思うんだが、オモロイのは彼女の中でどういう理屈付けがなされていたのか?ってこと。モノで湯音を釣ろうとしたということは下品ではあるんだけど、だからといって湯音に好意を持ってくれているという証でもあるんだよな。彼女の迷いはたゞ一つ、キモノを買い取るのにバカ高いコストがかゝるので、クロードの負担を無くすために残るか否か。決してキモノを手に入れたいとかそんな理由ではない。だが、ブランシュ家に残ればクロード達との縁は切れちゃうわけで、ヘンな話残るという選択肢は初めからなかったといってよいだろう。あとはアリスに対していかに気を損ねずにお断りの説明を行えるか?に尽きていたんだろう。湯音は気持ちの貸し借りとか言ってたが、いやいやなんの、そんな理屈抜きにクロード・オスカーと一緒に暮らしたいからってのが本音で、貸借という理屈はモノだったらアリスにも交換概念で理解できるから分かってもらい易いと思ったからだろう。タダでキモノをもらわなかったのも、借りを作りたくない、もしくはそれだけの好意を受ける謂れがないという謙虚さの他にも、どうもアリスとクロードの仲が悪いのを見とって、アリスにクロードの良さを伝えるという役割も持っていると思われる。土下座一時間も、多分相手の度肝を抜くという効果を見越してのことだろうし、そういった意味では全然頑固でもなんでもないんだよな。むしろこゝで出来た繋がりをできるだけ良好に持っていこうとする湯音の気遣いの塊というか。だからといって計算高いという言葉のもつイメージとはかけ離れていて、そう、言うならば良妻賢母的な立ち回りを見せて貰ったような気がする。いゝよな、こんな娘だったらスグにでも嫁に欲しいというか。