星空へ架かる橋 第10話

 こよりは中学の性教育で、子供はどうやったらできるのか習ってるはずだぞ。
 いかん、これは呑まれてしまう。どう考えてもわかりやすさ重視のお約束ふんだんな描写ばかりなのだが、魅入られてしまう。フツー、こんな展開だったら先がミエミエだからつまんないよという結論になるハズなんだが、意外なシーンもあってか、最后まで集中してしまう。もう遊園地シーンから泣きっぱなしだしな。
 そもそもこの作品の一番はじめが、円佳と一馬の幼いころのワンシーンだったから、メインヒロインは円佳なのかなと思わせる仕掛けだった。が、何でか知らないがかなり初期の段階から初がメインヒロインらしいってことを視聴者に明かしていたようだ。で、あくまで受身でしかない円佳がいきなりこれからメインヒロインに踊り出るわけ無いだろというのは、どんでん返しを意図していない限り自然な流れ。初や伊吹が協力を拒否するのもわかりやすいが、このわざとらしさも意図されたものだし、デートの説明を受けた円佳が話を持ってきたかさねらに一馬が好きなことをバれるのも構わない態度を視聴者に見せるのも意図してやっていること。まぁ正直なところ、円佳が自分の気持ちを悟られないような行動を取っていたらとても尺が足りないってところが主だろうけど。
 いやしかし、たぶん円佳と一馬がくっつくことはないとわかっていても、デートの最中一馬が初のことを口にするまでどうなるかわからないってのが上手いよねぇ。普通デート中に他の女の事を口にしないのはマナーの筈なんだが、転校当初一馬は弟の歩調に合わせるが、女にはそれをしないって描写があったから、なぜ人に気遣う一馬がデートのマナーを守らないのかちゃんと説明はつく。さらにハイキングで円佳が一馬を誘うってのも「まだ円佳は一馬のことをあきらめていないのか?」と思わせて上手い。いや、風に飛ばされた帽子を一馬がキャッチし、昔のことを思いだした時にすら、まだ目はあるか?と思ったぐらいだ。自分はプレイしていないのだが、おそらくゲームでは晩生の円佳が周囲にデートのお膳立てをしてもらいながらも一馬との絆を深め、あの思い出の場所で告白、ハッピーエンドって仕立てになっているのだろう。もちろん他のキャラとのフラグ立て如何によっては、今回のアニメのようにこの思い出の場所が円佳が自分の気持ちに整理をつけるための別れの場として利用するということになっているのかもしれない。わかっているつもりでも、もしかしてという要素を残しながら、やはり全体では美しい別れのシーンになっているってのがね、もうなんとも文句のつけようの無いものになっているわけですよ。
 しかしなんといってもキモは円佳の成長ですよ。たった一度の出会いをずっと暖めていたってのがまた泣かせるし、引っ込み思案の円佳が一かばちかの勝負に出て、そういう自分を乗り越えようと努力し、最初は友人の協力の助けがないと動けなかったものゝ、捨て身の行動が彼女を変革して自分から動くようになるってのがたまらなくいとおしいのですよ。別に視聴者として一馬と自分を同一視しなくても、好きな男のために必死になる女の子の姿って、やっぱグッとクるじゃん?。
 さて、残るは二人。もう初ルート確定だから、次回は伊吹脱落回ってことになるんだろう。で、そうなるとわかっていても、どう視聴者を泣かせてくれるのか楽しみでしかたがないようになってしまっている。いや、別に伊吹が不幸になるのが楽しいってワケじゃないんだけど。