星空へ架かる橋 第8話

 色々な「好き」の形。
 ついに初、伊吹、円佳の間での恋の鞘当て開始。いや、なんだろうな?。よくよく考えるといくら一馬がいゝ男だからといって複数のカワイコちゃんに同時に好かれて争奪戦が繰り広げられるとかありえないんだけど、状況的にこれだけの御都合主義をかまされても、全然腹が立たないどころか深く考えさせられるってのには参ってしまう。食い気以外にはなんの興味もなさそうな初が、一馬が伊吹と名で呼ぶのに気付くとかね、いかにもロマンス小説なんだけど、そう感じさせないんだよな。初はお兄ちゃんとか言い訳してはいるのだが、一馬を男として意識している割には自分が女であることに無自覚であるとか可愛過ぎ。円佳は周囲にバレバレであるし、伊吹の構ってちゃんオーラも悪くない。陽菜もあやまることにかこつけて一馬に近づこうとするのも見ていて微笑ましい。藤堂三姉妹は数馬獲得レースには中立だな。こよりがレースに参加しているかもと思ってみたんだけど、主戦場のキャラ達に比べると明らかに距離がある感じ。まぁ狂言回しというか、それよりはストーリーのナヴィゲーターみたいな感じだな。
 つむぎの歓待論はこれまたキレイにまとまってたな。大概キレイ事ではあるんだけど、聞いていて全然いやらしくない。海外旅行記をネットで読んでいると、イスラム圏は旅人をもてなす風習があって、それがよい思い出になっているという意見でほゞ一致している。で、それが宗教的なものによるものか、それともその土地での風俗なのかはわからないが、多分そこでは日々変わりのない穏やかな生活が営まれており、旅人という刺激に触れつゝ、日常生活の感覚で旅人と接し、お互いが与え合うという関係が想像される。イスラム圏といえば市場での値切りおよびその前提としての吹っかけなんてのが頭にあって、あわよくば無知な旅人から濡れ手に粟的な「奪う」というイメージがあっただけに、旅人歓待習俗にはいろいろ考えさせられるものがあった。
 で、つむぎの言う、「自分がわが町を好きだから、それを周囲にも知ってもらいたい」ってのは単純に考えると傲慢な物言いだ。上記の旅人歓待論とも違う。山比古町を訪れる旅人は、その旅人自身が住んでいる町は山比古町より劣っているのが前提のようにも思える。つらい日常からの逃避場所としての山比古町という触れ込みだったら、たゞのおらが町自慢に過ぎない。が、これは視聴者に対して行う主張という形をとっているので、不自然な台詞になっているだけで、これはスタッフの視聴者に対する「みなさんの住んでいる町も山比古町のようなステキな町にしませんか?」という問いかけであることがわかる。余所モノである一馬や歩がなんの障害もなく受け入れられ、いち早く溶け込んでお互いが支えあう存在となりうるそんな街だ。で、今まで視聴してきて、気遣いのあるコミュニケーション、町で働く(働こうとする)若者の姿、イベント描写を通じて住民同士がなんらかの一体感を持っている姿なんてのがちゃんと描かれている。
 これ、雑破業脚本のアニメだからってのもあるんだけど、ゲームのほうでもちゃんとこのような構造になってるのかな?。触れ込み自体*1がそんな感じだったワケだが。

*1:田舎転校癒し系ADV