GOSICK 第18話

 ゲストキャラ全滅状態。
 いや、さすがに撃ったことのない拳銃で危機を乗り越えるくだりは卓袱台をひっくり返したくなるのだが、これも運命の導きという流れなのか。たゞ、背景が動き出すところとか、メタファーの応酬とかの仕掛けはかなり惹きこまれた。
 うーん、おさらいとして科学と魔術に代表されるまやかしとの対立があって、それらをヴィクトリカに託された「勇気ある判断力」が生きる力として乗り越えていくって構造でいゞんかな?。今までは世界観に人を呑みこむ奔流としての時代背景というのはあって、でもそれはほとんど前面には出てこなかった。ヴィクトリカはあくまで単発の謎を解くという形になっており、でも今から振り返ってみれば初めの事件からしてWW?が色濃く影を落としていた。が、主人公たちが生活しているのはあくまで学園の中という安全な箱庭であって、学園内でも事件は起こっていたが、基本学園外では欲望渦巻く危険なところという構造になっている。
 で、近代化や帝国主義がいかに社会、もしくはそこで暮らす人々を根底から変えていったか、かといって旧くからの因習が決していゝわけでもないという構図になっていて、それが単体では弱いヴィクトリカや久城が精神的に繋がってそれで得た勇気と叡智で世の中を切り抜けて*1いくという流れになっているような気がする。欧米が行ってきたのは、科学にせよまやかしにせよ他国を暴力で脅して富を奪い取るということだ。大航海時代キリスト教の布教といゝながら銃で脅して植民地にしてきたのであり、近代化以降も結局やってきた事は同じだ。宗教だの科学だのといってもやってることは弱者からの搾取。その暴力装置の象徴としての拳銃をヴィクトリカが捨てるという描写があったが、パッと見ではよくわかんなかったよ。
 で、それが今の時代、グローバリズムという名のアメリカナイズや新自由主義による金融資本の搾取構造なんかとも重なる部分があるんだろう。あ〜、長かった。なんか気がついたら、この作品から脱落した感想サイトさんも多そうなのだが、これは確かについていくのはしんどいかもしれん。これからずっと面白くなるという保証もないのだが、そしてこの見立てが正しいとも思わないんだが、なんか妙な達成感が得られたよ。

*1:切り開くとまでは言わないまでも