フラクタル 第3話

 うすらぼんやりした世界だと思っていたのに、いきなり人死に。
 おぉ、いきなりツボに入ってきたよ。逃避行の末、隠れ村で前代的な生活を体験ってパターンはそれこそ実写映画などでも良く見られるパターン。現代と対比を行うための極端な例が示されるわけなんだが、グラニッツの村ってのはそういう役割なんだろう。
 自分の手で栽培したものを使う料理が複雑な味を持つってくだりは結構胸に来るものがあったんだけど、現代との対比でいえば微妙な感じだ。フラクタルシステムにおいてはチューブという味に抑揚のないものをあたえられているっぽいが、これはフラクタルという管理システムが味気ないものというメタファーだろう。たぶん現代の管理社会とも通じるものという位置付けなんだろうが、いかんせん現代のレトルト食品はむしろ人工的に刺激的な味になるよう調整されており、主人公がおいしいと感じた自然食品よりよっぽど美味いと感じるようになっているのではないだろうか?。レトルト食品に慣れた舌がそう易々と苦味やえぐ味を受け入れられるものなのか、それともあのグラニッツの料理がよっぽど工夫されているのか迷うところではある。
 星祭が管理のための洗脳ってのも、昔の教会の説教や寺社勢力による説話あたりなんかを思い起こさせる。祭りというのも、村落共同体の一体化を感じるための儀式だったりするわけなんだが、場合によっては権力による民族の一体感を演出するものだったり、権力に対する不平不満のガス抜きに利用されてもきた。それで与えられる効果は確かに述べられた通りだ。
 前2話が世界観の紹介の割には秘密めいた描き方だったのが、いきなり今回は説明口調に。ストーリーテリングとしてはちょっと稚拙ではあるのだが、前までのテンポを考えるとこゝで駆け足になってくれないと先になかなか進まないんだろう。一気に話が動いたと考えるとありがたい気もするな。でも物語としての真価を問われるのはこれから。