荒川アンダーザブリッジ×ブリッジ 第8話

 天狗の演じ分けが、エンドロールでわざわざすべて示すほど卓越しているわけでもない点について。
 天狗たちの下準備のせいで、リクがアマゾネスの好意に迷うの巻。リク自身にとって誰が本当に必要なのかというのを再確認するという結論は良かったのだが、どうも自分は恩知らずという展開が好きではないので、もやもやした気分で始終視聴することになった。
 リクはそもそも、他人との貸し借り関係を重視するあまり、その重圧に押し潰されそうになった時にニノと出会い、河原の住人になった。今期の初め頃に喘息が改善されるということが示されていたと思うのだが、河原の住人は基本自分に正直な生き方をするというのが信条(というほど大げさでもないのだろうが)で、そういう生き方に触れ、自分もそうすることによってリクがリラックスできるようになっているという状況だ。そしてあまりに河原の生活に馴れ、自分を苦しめていたものを忘却するに至って、自分を変えてくれたニノに対する軽重を他人の仕業があったとはいえ、間違えるという状況はなんとも見苦しい限りではある。倦怠期の夫婦ってこんなもんなのかな?。
 まぁ、物語としてはアマゾネス側を滑稽に描くことによって、視聴者に、この展開はギャグなんだよという告知がされているわけで、あんまり自分がもやもやしていても仕方のない話ではある。こゝで、本当にアマゾネスを可憐な美少女に描き、彼女の状況を本当に同情せざるを得ない境遇という設定をされてしまったら、それこそ何話もかけるのっぴきならない修羅場になってしまい、冗談にならなくなる。
 むしろ面白かったのは周辺の人物。P子がリクの正気を取り戻そうと必死に説得する様とかにはオヤと思った。P子はまだ恋に恋する世代と思われるので、どちらかというとリクというよりはニノを悲しませたくない、もしくはニノとリクの恋人関係が崩れるのをみたくないが為の説得なのだろうと思っていたのだけれど、いやはや自分の見立てによると、どうやらゝ河原の住人としてリク側に立った行動のように見えたことだ。仲間とはいえ、いつもだったらリクに悪態をついて距離をとっているから、しっかりしなさいよとは言いながらも非難するほどの悪態をつくかもと思っていたのだが。それと星。ニノとリクの関係が壊れゝばラッキーとは思いながらも、戸惑う場面。天狗を止めてリクを助けるのか、それともリクを見殺しにするか葛藤しながらも、決断する前にリクが正気になるという状況も面白い。助けなきゃと思いつゝも、結果的には見殺しにしたというのが絶妙だわな。別にアマゾネス側に有利になるよう自ら手を貸したわけではないけど、P子と比べりゃ友達甲斐のない人間というポジションに収まってしまう。
 そして、なんといってもニノの在り様。自分なんかは、彼女はショックを受けるが、あっさりリクを見放すか、ケンカ(とはいっても静かなもの)別れでもするのかと思った。本当に不器用なんだなと。無表情であったが故に自分は見誤っていたのかと。むしろ今回の描写で、今までのぶっきらぼうな行動も実はかなり愛情の含まれたものだったんだなと気付かされた次第だ。女って結構打算的で、いやそうであっても構わないぐらいの認識であったので、正直ニノというより、女から見てリクってそんなに魅力的か?と思っていたんだがな。いや、女にとっては自分のためにあたふたする男を見るとかわいゝぐらいに思っていても不思議はないから、リクのそういう初々しい態度に惚れても構わないんだけどな。どっちにせよ、出会った当初は二人ともそうそう本気でなかった事は確かだと思うんだけどなぁ〜。
 もしかして、リクの父は惚れてた女がいて、でも家の事情かなんかで他の女と結婚しリクを生んでおり、リクの父と別れたその女が実はニノの母だとかいう設定があったりするのかな。