Hidden Value メンズ・ウェアハウス その2

 この企業が人材を大切に扱うのはわかるのだが、高業績をあげるのはなんでだろうと思う。バーゲンセールは年一回、正月にあるだけで、あとは正価で売るらしい。店舗は郊外型で、ただし小規模ということだ。裾上げなんかは最初は手数料を取るが、同じ部分の修正であればあとはタダ。アイロンがけもタダらしい。広告はチラシを使わず、テレビ・ラジオなどのメディアに頼る。で、接客サーヴィスがウリらしい。
 典型的な店舗では(4500平方フィート=418平方メートル)、裁縫担当2、マネジャー2、ファッションコンサルタント(典型的な店員と考えてよい)3、セールスアソシエイト(レジ打ちや小物をすすめる係らしい。責任がより少ない、日本でいうとアルバイトの職務にあたるのだろうか?。但し日本のアルバイトは正社員と変わらない職務だったりするのだが)2〜3ということだ。ファッションコンサルタントの年収が25〜30kUSD、セールスアソシエイトの年収が12〜14kUSDだから破格に安い感じがする。2000年頃の話だから、1USD=120JPYの感覚だと、まぁその当時の日本の平均年収400万円に近いのだが、今や1USD=80JPYである。セールスアソシエイトなんてまさに主婦のパートに近い感じだな。しかし、業界平均は18kUSDらしいから、メンズ・ウェアハウスの報酬はかなり高いといってよい。
 あと研修にもコストをかけているらしい。ただし、地区マネージャーが日本のようにデスクで踏ん反り返ってノルマばかり押し付けているのではなく、管理職というよりはリーダーとして研修を直接担当する。で、事実上外部研修を使ってないらしいのだ。
 まぁ従業員の報酬も業界では高くて、他いろいろコストのかゝらない方法も取り入れているっぽいのだが、どうしてこの会社の商品が売れるのかがよくわかんないな。低価格を追求しているってわけでもなく、かといってブランド価値を高めて高価格で売っているようでもない。本当に顧客サーヴィスのよさで客をひきつけているんだろうか?。紳士服なんてそうそう新技術が投入されるモノでもなく、やはり枯れた技術の産物だろうから、他の小売店との差がこの本を読む限りよくわかんなかった。が、日本の企業のように、企業利益を従業員の給料を下げることによって確保するという、まさに泥棒のようなことを、メンズ・ウェアハウスはやらずにいるんだろうなということは窺える。