Hidden Value メンズ・ウエアハウス その3

 年収が多いか少ないかに関しては判断に迷うのだが、歩合給に関して見れば特徴的なのかもしれない。マネジャーを除く従業員は当該店舗の販売目標達成度がよければ一人あたり20USD、大変よければ40USDプラスされる。マネジャーは基本給と歩合給に分けられるのだが、歩合給に関しては自店の販売量や棚卸資産の損失に関するボーナスの2つが主なものということだ。棚卸資産の損失が1%未満の時には1500USD、0.5%未満のときは3000USD。典型的なマネジャーの給与の15%〜20%が各店舗の業績ベースで支給され、その他はマネジャー個人の売り上げによって決まるらしい。このマネジャーの年収がどのくらいかがわかりにくいが、マネジャーは割と成果主義っぽくて、それ以外の従業員は同業他社より高めながらも成果主義ではなさそうである。
 チームワークについてあまり熱心な記述はないのだが、他の従業員を押しのけてでも販売実績を挙げる社員は好まれないらしい。過去販売トップクラスの社員をクビにしたことがあったが、その後その店舗での売り上げが30%上昇した。その販売員が客を横取りしていたというワケだ。そしてそのおかげで職場の雰囲気が悪くなっていたということらしい。
 この会社は研修に力を入れているが、マネジャーや従業員を全員同時にではないのだろうが、一斉に一箇所に集めて親睦会も含めたものを盛大にとりおこなう。地区マネジャーがトレーナーとなって販売員に指導することゝいゝ、大分手間をかけているようだ。実務面が多いと思う。
 というわけで、いろいろ見てみたが、どちらかというとスキルの高い従業員が入社しているわけでもなさそうなので、その能力向上を図りつゝ、社員を大切に扱うという方針を重視しているように思う。内容を読む限りパワハラとは無縁だ。商材が低価格帯のスーツであり、それほど技術革新の必要な分野ではないのだが、それでも収益をあげることができるってのは強みだろう。社員を大切に扱うから、経営者に対する忠誠度も高く、また客への応対も丁寧になるってのは、ブラック企業の多い日本とはちょっと考え方が違っているようには思う。でもまぁ巧妙に露出を避けているだけで、このようなことをやっている日本の企業がないとも思えないけどなぁ。