君に届け 第2話

 犬に嫌われる爽子。
 うーん、心意気の部分は評価できるんだけど、どうしても風早と爽子の造形がちょっとな。いろんなトコロで言及されていると思うんだけど、風早のようなイケメンが、どうして今まで他の女子からのアタックを受けずに手付かずに残されていたのかよくわかんない。いや、もうそろそろ今話の最後に出てきたやわらかロングと風早の取り合いになりそうな感じはするのだが。
 で、爽子は崩し絵はそれなりだが、描写的にやっぱり美人という設定で、今風ではないものゝ、見映えでよってくる男がいてもおかしくない。ヘンな話、顔だけでなく体目当てで近寄って来、みんなと仲良くなりたいという爽子をうまく言いくるめて都合の良い女として囲うってパターンってありそう。
 しかし、爽子自身が天然であるという性格付けで、風評から誰も近寄ろうとするものがいないというのが強引といえば強引。今時なら、クラスであれだけ避けられていたらハブられる…風早が近寄ろうとしたら全力で周りが止めるってパターンになるのが自然な流れだ。
 だからこそだとはいえるんだが、やはりこの話のキモは吉田や矢野の存在。見かけからすると爽子叩きの急先鋒となっていてもおかしくないが、女にありがちな粘着質なところが無く、ストレスが無さそうな生活ぶり。余裕があるからこそ、他人の評判を気にせず素直に爽子の行動を観察し、本質を見抜き、自分に出来る精一杯のことをする。最後の爽子の席に陣取る行動は見ている限り、自分の存在感を高めるために人助けをするという偽善性は感じられない。
 残念なのは、あれだけ爽子を避けるクラスメイトを提示しながら、風早-吉田-矢野ラインに囲まれた爽子グループを周囲がどのように受け取ったのかって描写がないこと。もちろん、ここは爽子周辺の結束を強調して、それ以外の要素をもってきて水を差すようなことをしないってのは正しい構成ではあるんだが、下手をすると仲良しグループの内輪受けに終わってしまう可能性がある。いや、もちろんターゲット層のことを考えたら、そういう展開を現段階でするという決定をスタッフがするとも思えないんだけど。これだけ繊細さをウリにしてたら、変化はなるべくつけず、ストレスは与えるにせよ、できるだけそれを抑制する流れなんだろうなとは思ってしまう。いや、もちろんそれこそ自分が期待しているものではあるんだけど。
 なんつーか、前回も書いたけど、爽子を見ていると、つくづく性根の優しい人間は生きにくい世の中なんだろうなとは思う。確かにもどかしさを感じたり、夏休みに会える云々で尊敬うんたらってのはヒくところはあるんだけど、しつこくはない。今問題になっているのは、クレーマー・モンペのように人間の内面にある攻撃的性格をたやすく他人に向ける人がすごく多いことで、しかもそうすることによって自分のほうに利権を誘導する「大きな声で正論を主張し、その実自分の欲得しか考えないバカ」がはびこっていることだ。社会は基本人と人との気遣いで成り立っておりってのを理解しない人や、いや、それを理解しているからこそわざと人に気を遣わせて私腹を肥やすってのがここ10〜20年ですごく増えたような気がする。昔もそういう人がいなかったわけでもないんだろうけど、少なくとも表に出さないようにしていたり、そういうバカは周囲が相手にしないって風潮ぐらいはあったような気がするのだが。まぁ爽子にホれた風早はともかく、吉田・矢野あたりはそういう欲得感情からは遠いという役作りだわな。
 スタッフロールの原画や動画を見ると、人をたくさん使ってますな。だからこそのクオリティ。女性スタッフの名前が多かったから、なんというか自分を爽子に投射している人とかいるんだろうなとか想像していると、それはそれで楽しめる。