恋姫†無双 第12話「関羽、志を貫くのこと」

 …というお話だったのサ、の巻。
 うーん、雑破業の幕引きって独特なんだよな。マイユアあたりもしっとりとした終わり方だったのだが、しかしアレは途中がもっと激動だったわけで、ああいう落ち着いた結末はいわゆるハッピーエンドとしては大人の終わり方だ。この作品でも水戸黄門漫遊記として山アリ谷アリだったわけではあるのだが、彼女たちにとっては変わりなき日常でもあって、なんとも長い旅路の終わりといった感じは無い。いや、むしろこれから長い旅路が始まるのだとは思うが。
 最終回単独で言えば、確かに偽劉備の勃興と凋落、それに伴う五虎将の見せ場、関羽張飛の補強エピソードと、構成としてはこれまた無難ではあるものゝ、きっちり盛り上げもあった。が、視聴後感として、こんなもんだろうなとは思いつつ、やっぱり物足りない感は否めなかった。終盤の数話は一話を貫く大きなテーマを軸に重層的なエピソードの構成があまり感じられなかった。
 で、まぁどうしても考えなければならないのは、このアニメ版がゲームの販促であることが制約になっていたんだと思う。アニメを視聴したらそれで満足してしまって、ゲームはもういいやとなってもいけないわけで、この1クールで何らかの決着・結論を出せないのだろう。かといって、アニメ版をつまらないものとしてしまっても販促にならないわけで、そのへんコントロールして作品を作っているとは思う。
 で、実は絶妙なことに、中盤あたりでゲームを購入しようかな?と食指が動いたことがある。過去形なので今はその気はあんまりないのだが、小さなエピソードとはいえ、各キャラに特有の緻密なストーリーが用意されているのなら、小説としてはちょっと高いけど、サブストーリーの集積として買ってみようかな?と思ったのだ。で、いわゆるトゥルーエンディングは、その積み重ねとして重厚なテーマを描きだしてくれているのかな?という興味もあった。ただ、ネットでちょっと聞きかじったところ、基本は一本糞ストーリーで、ヒロインとのフラグ立てとミニストラテジーが間に挟まっているだけらしく、途端に萎えてしまった。
 月姫とか君望とかやったが、さすがに初めは目が眩んだのか、「メインヒロインとのストーリーの裏ではこんな物語が繰り広げられていた」というのが物珍しかったんだけど、数本やったらそういう構成自体に慣れてしまって驚きは半減、何人ものルートを開けなきゃなんないとなると、もうただひたすらめんどくさいと感じるんだよね。いや、並列して綾なすストーリーの妙ってのは、組み合わせからすると自分がもっと驚けるだけの可能性はあると確実にいえるんだけど、例えば、全員のルートを空けなくちゃトゥルーエンディングに辿りつけないとなるともうダメ。ルーチンワークになっちゃうし、興味の無いルートだときっと拷問に近いものがあるだろう。
 今でもネットで話題になったエロギャルゲーをやってみたいと思うし、もう既に古典となってはいると思うんだが、いくつか頭の中でぼんやりと候補らしきものもあったりする。でも障害は「めんどくさい」。とにかくどうせ紙芝居ゲーで、本質はテキストなんだから、一本素晴らしいメインルートを小説で示しちゃってくんない?、あと魅力的なサブヒロインルートはこっちで勝手に妄想するから…ってな感じだ。まぁある意味同人の隆盛がもたらしたものだとは思うがな。そもそも複数視点のギャルゲーなんて、そういう「自分がお気に入りのサブヒロインのSSを書く」といった同人のメンタリティーが基盤にありそうだが。
 というわけで、クォリティは高いと思うんだが(さすがにアクションは終盤ヘタれていたが。)、やっぱ一つの完成した物語を描き切ったか?と言われれば、それは違うといっていいだろう。で、それは責めてもしょうがない問題だ。ただ、そういう構成であるからこそ、自分のお気に入りであっても、決して他人には勧められないものになっている。結局この作品って何が言いたいの?と問われた時に、答えようが無い。自分としては、黄忠が出てきた8話でほとんど終わってしまった作品といえる。そこまでなら、暫定でいい評価をつけられたのだが、やはり全体としてみた時にはおもろぐらいが適当なのだと思ってしまう。
 やっぱマイユア売れなかったのかね?。アニメ版の完成度は高かったと思うんだが、自分的にはたしかにそれで満足してしまった。主人公が二人ということで、終盤すれ違ってしまったが、ちゃんと友情も絡めて結末を描ききっていたし、公式サイトにあったキャストインタビューでちょっと気になっていた、ヒロイン星野の「ルートが違えば違った貌を見せてくれる」ってのも、どうでもいいやと思ってしまったしな。販促にはなっていないんだろうけど、自分的にはアニメ版つぐみ寮が結構忘れられない作品になっている。平凡だけどね。やっぱ雑破業にはストーリーを書いてもらわなくっちゃダメだろとか思う。もう旬は過ぎたが、ちょこシスとか輝いているよな。でもまぁ、どみなのド!のアニメ化は勘弁な。