セイレン 第12話

 フェチ描写は結構あるんだけど、おとなしい感じである意味上級者向け。
 うーん、きれいにまとまってはいるんだけど、シリーズとして振り返ると不完全燃焼気味。OP映像を見ると、タイトルが重なる場面で六人のヒロインが並んで寝そべっているので、おそらくこのクールで終わるつもりはなくって、2期があるつもりで作ってるんだと思うのだが、どうなるか。この作品が話題になったような雰囲気は感じられなかったし、2期はないのかな。Wikiを見ると、公式サイトにフローチャートがあって、主人公の嘉味田が各ヒロインルートに入るためにどんな分岐を辿ったか?というのが示されていて、それで初めてこの作品がアニメオンリーなのにまるでゲームのような作りになっているというのに気付いた次第。で、そのフローチャートにはこの今日子ルートの分岐に入る直下にNEWとあって、なにやらシナリオが追加されたという形になっているので、やはり2期に入る準備をしたような体裁になっている。そういう仕立て自体は面白いとは思うのだが…。
 今日子編はこう終わってから振り返ると、今日子が精神的に大人に成長するという過程を描いており、常木編と同じようにこういう仕立ては面白いと思った。宮前編も、彼女が人間関係を掴んでいく過程と見ることもできるのだが、やはり常木編と今日子編に比べたら、ヒロインの成長要素は格段に弱く感じる。で、主人公の嘉味田を見ると、彼には成長というものをほとんどさせてないので、これがこの作品のあり方なんだろうなと思うしかない。深夜アニメがメインとなって以来、今までずっとこのような男性視点のテキストは主人公と視聴者の男性を同一化して、主人公の成長を描くのが普通であった(逆にヒロインは成長しないというよりは成長しきっている)と思うのだが、この作品ではそれが逆転してるなという感じ。ならば、むしろこういう作品のターゲット層は男性というよりは女性なんじゃないか?とも思える。思えば、常木編でも今日子編でも、嘉味田が数居るヒロインから一人を選ぶという形をとっているようには見えず、今日子編は嘉味田も今日子も選択肢がないからともかく、常木編では常木が数居る男から嘉味田を選ぶという形に見える。ギャルゲーが男の主人公がヒロインを選ぶという形になっており、この作品もそういう体裁をとってはいるのだが、その実選んでいるのはヒロインであるという倒置構造になっているように思う。
 個人的にはもうちょっとテキストにキレが欲しいのだが、もともとキミキスアマガミのテイストが真剣だとかスタイリッシュというよりはスラップスティック寄りのテイストを目指していると思うので、そのへんはなぁ。ドンくさい感じにすることで敷居を低くしているのだろうけど、個人的にはもうちょっとキレのほうに寄ったバランスのほうが好みというしかない。おそらく中高生にはこのぐらいが良いのだろうという気がする。
 Wikiを読んでみると、赤髪ポニテ不登校からの転校らしいし、弱気のきょぬーや強気の生徒会長なんかはフツーというより癖が強くて性格的に社会問題に繋がりそうな設定のような気がするので、おそらくスタッフとしてはフツーの女の子である今期の三人よりは残りの三人のほうが推しなんだろうなという気がする。テキストの出来は決して上質とはいえないんだけど、構造部分に見るべきものはあるので、もし次期があるのならチェックしたいなと思わせるものはあったかな。