うーん、世界が熱いねぇ。

 アフガンで行方不明だとか言っていたNGO職員、実は殺されていたの巻。
 アフガン拉致事件、遺体は伊藤さんと確認 外務省
 で、「外国人追い出すため」 アフガン邦人死亡で実行犯供述ということらしい。
 よくわかんないが、別に日本人を標的にしたというより、復興支援だといって踏み込んできた外国人を攻撃してみたら、たまたま日本人だっただけのような気がする。拉致だのなんだの言っていた段階では、タリバンもはっきりしたことを言っていなかったし、様子を窺っていたのだろう。
 別に「そのうちアフガンで日本人の被害者が出るだろう」と待ち受けていたわけでも、予測していたわけでもないのだが、よくよく考えて見れば、そろそろ死人が出てもおかしくなかったと、今更ながらに気付いた。欧米人も過去犠牲者が出ていたそうだし。そもそもアフガンが9・11テロを口実に侵略され、イラクが欧米・日本にボコボコにやられ、首をすっこめていたら、実は大量破壊兵器は無く、アメリカが石油利権のためにチョンボしたことが明らかになって、イスラム圏内の怒りが充満していたのだろう。で、イランは反米で元気がいいし、パキも媚米大統領が辞任し、インドは親露、で、グルジアを合衆国が支援したものの返り討ちにあったわけで、気がつけばアフガンの周辺はすべて反米感情が盛り上がっている。そりゃアフガンもいやがうえにも反米感情はもりあがらざるを得ないよ。
 で、日本はインド洋無料ガソリンスタンド法案を昨年強行採決した。アフガンにとって見れば、侵略軍の兵站を担っている日本を快く思うはずが無い。強行採決したということは、国民の意志を無視して行ったということが明らかなわけで、そりゃアフガンの日本の与党に対する怒りは予想されて余りある。もしかすると、犠牲者の伊藤さんは拉致後しばらくは生きていたかもしれず、もしそうならば、タリバン上層部の判断で、兵站を担うという決断をした日本の政権与党を追いつめるために、わざわざ殺されたと見るべきだろう。合衆国はベトナムに先に手を出し、自国の兵を大量に失い、世論の盛り上がりでベトナムを撤退した。イラクだって、合衆国が大量破壊兵器を捏造して先に手を出して、で、やっぱり国内世論の盛り上がりで撤兵を検討されている。マケインはともかくオバマはそうだ。ということは、日本も給油行動でアフガンに先に手を出しているわけだから、ここは一つ反撃して日本国内の反戦世論を盛り上げちゃえということになる。もし、伊藤さんが本当は生きていたのに途中で殺されたというのであれば、その責任は自公政権にある。
 で、その辺の機微を、どうやら高村は読んでいるようだが、町村はまったく失言し放題だ。
 アフガン邦人死亡 官房長官「テロとの戦い、関与に理解を」

 町村信孝官房長官は28日午前の記者会見で、アフガニスタン東部での非政府組織(NGO)「ペシャワール会」の伊藤和也さん殺害事件について「尊い犠牲が出てしまったが、そうであればあるほどテロとの戦いに引き続き関与していくことの重要性を日本の国民のみなさんは感じたのではないか」と語った。

 インド洋での給油活動を延長する法案を臨時国会に提出する方針にも言及し「与野党の合意があれば法案を修正することは否定しないどころか歓迎する」と強調した。

 高村正彦外相も同日午前の自民党の外交関係の合同会議で、伊藤さんの殺害事件について「犯人に強い憤りを感じる。ご冥福をお祈りし、哀悼の意を表したい」と語った。(14:22)

 9・11テロのときに、アルカーイダ側が「日本もテロの考慮に入れる」と言った段階*1では、ある程度仕方が無いとも思っていたのだが、昨年のインド洋無料ガソリンスタンド法案で正当性を全くなくしていたと思う。だって、一応傀儡とはいえカルザイ政権はあったわけで、そんな中外国の軍隊がアフガンに居座っている状態はどう考えてもおかしかった。すなわち、昨年の段階で、日本は侵略軍の片棒を担いでいた…すなわちアフガンに先に手を出していたのだ。まぁ町村は
 官房長官、ドル防衛合意「過去にも色々なケースあった」と発言しているからには、心底売国奴か、死んでも治らないバカかの二択なんだろう。自民党の不用意な発言で日本人の更なる犠牲が出ないことを切に願う。
 で、米欧対ロシア、グルジア巡り対立 日本「立ち位置」難題ということらしい。今朝も通勤時運転しながら日本の立ち位置をぼんやり考えていたのだが、日本はもしかするとロシア・中近東・ASEAN諸国・中国の大圏ブロックに所属したほうが、媚欧米よりもしかすると益が大きいんじゃねぇの?という気がしたのだ。たしかにロシアはシベリア征服だの、ノモンハンだの、終戦時の火事場泥棒→シベリア抑留だのあまり良いイメージは無い。だが、そもそも友好の歴史を思い出してみると、最初はロシアにそんなに悪いイメージはないのだ。日露関係史 - Wikipedia
 結局ロシアもそういう流れに沿ってしまうのではあるが、アメリカは最初っから砲艦外交で日本を脅して開国させているが、ロシアは割と「話し合い」による外交を試している。通商条約もアメリカは治外法権というイメージがあるが、ロシアはそういう話を聞かない。あとはロシアの南下政策に伴っての日本との摩擦だが、満洲利権の取り合いであって、どっちも見苦しい限りではある。ロシアのほうがいかついイメージはあるが、ふりかえってみるとアメリカのほうがやっている事はがめつい。まぁどちらと結ぶにせよ…というか、アメリカを選ぶという選択肢はもう既にありえないわけだが…中国との結びつきを強くするにせよ、ロシアとの結びつきを強くするにせよ、別に相手を信じきってしまうことは危険なわけで、そこらへんバランスを考えねばならないだろう。イランとロシアの関係が強くなって、イランにロシア艦隊の寄港地ができるとか、地球温暖化ウラジオストック不凍港になり、ロシア極東艦隊の母港になったりしたら、アメリカとの衝突に巻き込まれる…というか、日本は不沈空母なんてバカ首相が言ってしまった(まぁいわなくても在日基地があるわけで)おかげで、間違いなくロシア・中国の攻略拠点になっている。アメリカとの軍事同盟を重視しまくってなんか益があるのかね?。

*1:実はアルカーイダとタリバンに深い関連があるとはこの時点では証拠があまり無かった。だから、タリバンが言ったのならアフガン攻略はまだ検討の余地があったが、アルカーイダしか日本をテロ対象と言っていなかったワケで、実はあの声明直後にアフガン侵略軍に日本が加わるのは非常にまずかった。アレへの対処はテロとの戦いではなく、国際警察組織によって捜査されるべきだった。