ロミオ×ジュリエット 第13話「脈動 〜導かれて〜」

 濡れて紐が透けて見える絵に気合を入れるスタッフ乙。
 なんつーか、ジュリエットがエスカラスの巫女(つーことは庭師はジュリエットの侍女という役割なんだろうか?)かもしんないという視点が示されているので、あとからここ最近のグダグダ展開も理由があった!なんとことになるのかもしれんが…。まぁ仮想世界にリアリティを求めること自体馬鹿げているのかもしれんが、ちょっと理屈の裏づけをしたほうがいいんじゃないの?と思った。さすがに絵や音はキレイなんだが、そういう問題じゃないだろう?という気がしないでもない。
 まず、とらわれたジュリエットがヴェローナについたときの周囲の反応がどうもね。正直いろんな考えがあると思うんで、アレがダメ、コレがダメってのも無粋な話ではある。ただ、モンタギューの政権奪取から10年以上経ってはいても、20年は経っていないんで、大抵の庶民はモンタギューが圧制を敷いているのは共通認識としてあり、だからといってキャピュレットを支持するわけでもないのはあると思う。というかキャピュレットの娘と公言して娘狩りをしたのは極最近のことじゃなかったっけ?。それまではただの娘狩りだったような気はするが。
 で、キャピュレット家の娘がモンタギューの一位後継者と一緒に逃げたという事実を周囲がどのように受け止めたのかが気になる。今のモンタギューは期待するだけ無駄だが次の当主は和解を考えているのかも?という期待感とか、キャピュレットも寄らば大樹の陰なんか?というキャピュレットに対する失望感とか、娘を持つ親たちの「これで自分の娘もいらぬ嫌疑をかけられることも無い」という安堵感とか、それから派生する諸々のことが一切描かれてないので、どうにもなぁ。2日後に処刑があるということで、「酷いことをする」という発言のみがあったのだが、どうにも当り障りの無いことのように思える。赤い風がジュリエットだということは知られていないので、正直ジュリエットは自民党清和会に迎合した共産党ぐらいに思われているんじゃなかろうか?。
 まぁキャピュレットの重臣達も複雑な感情だったろう。コーディリアあたりがちょっと情けない感情を吐露していたが、描かれはしないものの、ほとんど全員がジュリエットのことを「なんのために俺たちは今までがんばってきたと思っていやがるんだ、このバカ娘は!」と憤懣やるかたなかったことだと思う。それでもジュリエットを非難して、益々ロミオを恋しがらせたり、勝手に死なれたりしたら、今までの努力も思いもすべて無駄になるだけでなく、自分たちの立場は悪くなりモンタギュー圧政は続くだけなんで、そこは苦渋の決断なんだろう。というかあっさり描かれていたっていうか、本人たちは悩んでいなかったかのような素振りであるが。つーか、イタリア人だったら瞬時に損得勘定を計算してあっさりと身の切り替えをしそうではある。ロミオとジュリエットが例外なだけで。まぁここらへんジュリエットの周囲のキャラクターの割り切りはさすがに無理はない。さすがに発言した言葉どおりのことを考えているとでも言うのなら、それはアホかと思うが。
 モンタギューの警備体制もありえないほどザルである。キャピュレットの残党をモンタギュー自身が気にしており、また処刑日が公開されてもいるので、その日までは厳重な警備がなされるはずである。もしくは偽情報をながしてジュリエット奪還にきた残党を一網打尽にするぐらいはしてもいいはず。なんだよアレ。体育会系バカのように見えるキュリオがなるべく人死にがでないような攻撃を繰り出しているのに対し、やさしそうなフランシスコがなんのためらいもなく胸を打ち抜いているのも微笑ましい。
 あとはやっぱりジュリエットかねぇ。人に対する思い遣りも無く、一貫性を保つこともままならない。当然世のため人のためってのは頭のなかで考えただけのファンタジーで、いまだそのために何をなすべきかという落ち着きが見られない。まぁ世直しなんて視点は原作には全然無かったことなんで、別に今回次回でジュリエットが処刑され、ロミオが後追い自殺をして、二人とも死んで結末は原作と同じになりました、ちゃんちゃんでもよかったことにもなりかねない。前回までで小さな幸せを描き、次回予告だとワーキングプアを描くようだが、これでやっぱりモンタギューが今までの圧政の責任をとらずに済みました…とかモンタギューの圧政が続きましたで終わられても困りはする。いやいや現実なんてそんなものだよという点に於いては高評価を与えることはできるが…。
 今回の注目キャラはマキューシオだねぇ。どっちにころんでも損は無いように保険をかけておくってところはただのお坊ちゃんじゃなさそう。どっちにも恩を売っておくとか。まぁモンタギューは父にせよ、ロミオにせよまったく人の話を聞かないもんなぁ。それでも人を幸せにするとか実績があるんだったら別に人の話を聞かなくてもいいし、そうであるのならむしろ彼らにしかないその能力をこっちが乞うて教えていただきたいってもんだが。でも今の自民党強行採決に見られる通り、大抵は自分の利益ばっかり考えて他人に負担を押し付けるだけなんだよねぇ。ロミオも色恋ややさしさを提示しているが、それがさらなる事態の悪化を招いたり、みかけだけで実際には人を傷つけるだけってのがこれまたねぇ。自分がやっていることに自覚が無いだけに余計厄介っていうか。マキューシオの行動も褒められたもんではないんだろうけど、実際あぁいう場にいたら多分アレが最適解なんだと思うわな。