第6話「グレート・エスケープ(後編)」内容

 クーデター現場のシノン達の描写から。艦との通信がつながったとき、イマリ@甲斐田裕子の「チャイナ服だ。ははっ」の声がメインの会話にかぶさりますが、なかなかウマイです。和むところは今回ここだけですから今のうちに。番組からの要請でわざと危険な任務になりますが、報酬ははずんでくれるようです。世の中が不景気なことをいいことに人件費だけを削って利益が増えたように見せかける会社が多くなっているそうです。そんなところでは割に合わない仕事をさせられてもべつにアップチャージなどは無く、むしろ業績不振を楯に減俸させられるところもあるでしょう。仕事量は増えるのに給料は減る。そういうことを考えると豪気な話ではありますな。
 監禁されこれからどうなるかわからない不安に頭がいっぱいいっぱいのキスカにリオが自信をつけさせようとします。この時点ではうまく手玉にとっているように見えるわけです。しかしこの後の描写でこれすらもが強がりだということがわかります。リオを抱擁するキスカ。キスまでしたのは余分かなとも思いましたが、寄り添うという場面が表現されていればOKなので私的にはどっちでもいいことです。
 レンナ組の描写ですが、早い段階から困難に遭います。脱出するためには撃ち合いが不可欠と判断し、自分が犠牲になると申し出たレンナ。人間としての能力は別にして、アマテラスに重要なのはアキホなんだと判断しすばやく行動するレンナと、レンナがそう判断していることはわかりすぎるほどわかっており、かつそれが正しい判断なので逆らうことができないアキホの心の通じ合いというのが泣かせるわけです。(アキホは馬鹿ではありません。だって、早いうちからレンナの心のうちを読んで涙を流しているではありませんか。)あとは死に向かって淡々と状況が進行していきます。ネタばれが無かったらレンナが助かるかもしれないと最後の場面まで期待していたでしょうに、うっかりと目にしてしまい残念な思いでいっぱいです。
 レンナ達の困難に比べ、シノン達の脱出は主人公組なだけあって安心して見れました。スパイクスが言っていたようにどれだけ絵になるかを期待させられます。ミユリ達が火で目印をつけて着陸地点を指示しますが、あれぐらいの目印だと陸上だとはいえ夜間の空母離着陸より難しいと思います。それも宇宙往還用のシャトルだろ?降下時の対地速度が地上機よりもはるかに早くてめちゃくちゃ難しいはずなんですが。バイクの疾走場面の後すばやく離陸。実は現実味が薄いんですが絵にはなっています。目くじら立ててもねぇ。
 シュウ側の描写ですが、卑怯者的な大統領の描写のあとに意志の具現者としてのウォン艦長が現れます。しかし空軍機がシャトルを捕捉したと脅迫めいたことを言っているくせに、シャトルが安全圏内に入った描写の直後に国民の総意だなんてえらそうなことをいうのはいかがなものかとおもいますが。とにかく決断を艦長にゆだねる場面でシュウの大統領は贖罪され、ウォン艦長は運命の決定者として完成されるわけです。やりたかったことはわかるんですが、今回個人的には政治劇はいまいち感が漂いました。あまり重要ではないと思いますけど。
 シュウとの話し合いではスターシップチャンネルの視聴者に助けられた形のアマテラスですが、その直後の艦橋の描写では逆にスターシップチャンネルの視聴者にレンナの死を娯楽にされるという、これまた業の深い場面が提示されます。そしてレンナと一番仲がよかったシノンの描写で話が折りたたまれます。かっこよく脱出をキめたシノンですが、いままで調子よく切り抜けてきたけれど、結局失うものは大きかったことを自覚させられてこの第6話は終わります。