キミゼロ#1
ラノベ原作のアニメ化。なんか不思議な感じ。基本はオタクに優しい(といっても主人公がオタクとは思えないのだが)ギャルという最近のトレンドの定番ながら、かなりフォーマットを逆転して構成されてる感じ。
物語の定番は主役が努力の結果嫁を得るというものなのに、最初っからカップリングが成立してる。ギャルは見かけが派手ながら実は純情でバージンってのが定番なんだが、純情はともかく貫通済み、しかも複数っぽい。
なんか告白強制がイイハナシのように扱われているけど、主人公が想い人にどうしても気持ちを伝えられない様子を見るに見かねて友人が一芝居うった…というのならともかく、テストの点で負けたものが罰ゲームとして…なのだから、あれはフツーにいじめなのであって、結果的にイジメが良い結果をもたらしたからいいことのように思わせてるんだけど、本当はポリコレ的にはNG。ただ、ラノベにポリコレなんて持ち込むのは野暮でしかないし、実際こういう展開はそこそこ見かける。で、普通男の方が女に同調圧力をかけて行為に持ち込むんだけど、今回の話は女から誘う形になってる。まぁ今までは男の方から…だったのだろうけど、結局ヤらずに済ませたところからすると、今トレンドの同意なしの行為は犯罪…みたいなポリコレ臭がする。なので、結局のところ互いに相手の嫌がることはやめましょう、精神的な関係性を深めてお互いが自然にやりたいと思えるようなことだけ同意してからやりましょう…みたいな、まぁいうなれば教育番組っぽい構成になるのかな…とかぼんやり思ってる。しかし、そういう同意のうえで…というのは非常に大きな問題を孕むものであって、決していいことばかりではないんだけど、その辺については今回は言及しない。
そういうわけで、こう教科書的にはNGとされるテストケースを上げて実際にはこれこれこういう正しいことをしなさいよと啓蒙するような作品なのかなという雰囲気がするが、今後はそればっかだけでなく正誤織り交ぜてシナリオが構成されていくんだろうという感じ。行動そのものの正邪はともかく、何か経験をしてしまえばそこから学ぶべきことはあってそれが以後の行動の指針となったり判断材料になるのだから、経験豊富なヒロインが今までの行為を割と軽く考えていることに違和感がなきにしもあらずなんだけど、そこにリアリティを求めてしまったら話のすゝめようがないので、ツッコむのは野暮なのかなという。最初にヒロインが滔々と持論を展開していた、付き合ってから関係を深めればよいというのは見合い結婚と同じ論点なので、そこではあーヒロインは経験を積んでるからそれなりに含蓄が深いなぁとか思ってたんだが、直後にアレだからな。北欧なんてのは知りあってすぐセックスして相手との相性を確かめてから、以後深く付き合うかどうかの判断材料にしてるらしいし、貞操観念なんて文化が違えば180度反転してもオカシクないのだけども、さすがに日本のことだしヘタするとヒロインは知的障害者なのでは?という可能性も出てくるんで、このへんはナイーブな問題なんだけどね…。
南部訛りのキツいドイツ娘に「正しいドイツ語」とやらを教えた日本人との恋愛を描いた森林太郎の自伝的作品にも似てるかなと思い至ったのではあるけど、子供まで作って男は日本に逃げちゃうんで、さすがに類似性を語るのは的外れかも。
攻略アニメ#1
大陸人気アニメの日本ローカライズ(吹き替え)版。最近は大陸アニメに対してあんまりアンテナ張ってなかったのでこのアニメが人気あったとは知らなかった。とはいえ、#1を視聴するにフルCGアニメなのに日本のフルCGアニメより違和感が少ないのに驚いた。日本のクリシェを多用しててテンポもよいし、絵の方はともかくギャグのセンスもジャパニメーションとそんなに差がない感じ。
公式サイトのイントロを見るに、転生先の世界も救うし、現実世界に戻る方向性というのも日本と大陸との違いかなという。異世界転生モノでは、日本でも転生先を救う、そのために召喚されるというものもあるけど、割合はともかく転生元に帰るつもりがない作品がそれはそれは多いので、現実世界に戻りたいという作品はウン十年ぶりといっていいほどかなり珍しい。大陸アニメは中盤からダレてしまうものが多いので、これにはちょっと期待してる。
ななつま#14
救援隊ちょっと前進、要救助者なんとか救難信号を打ち上げる、先輩サイドの過去話。盛り上がってるのは盛り上がってるんだけど、今回のこのトラブルも唐突に起こってるから、前回まで落ち着きがないんだよな。元々が一年生最強決定戦と秘密基地での桃園の誓いをクロスオーバーさせてたからせわしないのなんの。どうしてもエピソード間の区切りをはっきりさせるバッチ処理でないといけないわけでもないんだけど、視聴者としては一つのエピソードの整理がつく前に次の展開にいっちゃうからうまくつながないと一つのエピソードに込められてるテーマやメッセージを把握できないで混乱すると思うし、自分を振り返ってみてもそうなってるような気はする。エピソードの区切りにそれなりの間をおいて余韻を演出するのはそのタイミングで読者に考えを整理させる機能があると思うんだけど、読むペースを読者自死因が調整できるテキストベースな原作だとあんまり問題にならなさそうな気はする。映像作品だと視聴者置いてけぼりになってしまいがちだし、シナリオにストレス要素を入れちゃうと、視聴者はそこで混乱して内容が頭に入ってこなくなるので、こういうエピソードとエピソードをクロスオーバーさせる凝った構成だと、視聴者が集中できないうちに先を急いでしまうからすべてが台無しになる可能性が大きいのではなかろうか。
逆説的だが今回の先輩の過去話は、先輩たちが入学してから事件発生までを駆け足でトバしてきてるんだけども、エピソード間の区切りがはっきりしてるから省略があっても混乱も誤解もしない。
次回でアニメ最終回のようだが、メガネ君が死ぬ展開はあり得ないし、せいぜいサキュバス先輩が救われるか救われないかぐらいが不確定事項で、物語が良い方向に大きく振れても結局アニメ全体の評価は大きく変わることはなさそう。
はめつ#1
漫画原作のアニメ化。ツイッターで原作の#1が公開されてたのだけども、アニメでは幾分マイルドにされてるものの残虐描写があって、これで累計100万部越えかーとちょっと驚いた。はっきりとそうだと描写されてるわけではないんだが、幼少時の主人公と育ての魔女、見つかったのは才能をひけらかしてた主人公のスマホだと思うのだけども、まぁ彼が人類に怨みを感じるのは当然としても、彼自身の愚かさが絶望的な結果を生み出したことについては後から言及されるんだろうかというちょっと期待にも似たものがある。
まぁ魔女側が現代日本でいうと教員や介護などのエッセンシャルワーカーのメタファーなのはほぼ明らかだと思うが、魔法と科学の対比がちょっと面白いというか、史実の魔女狩りなんかを念頭に置くと、ヒトと魔女との対立はそのまま宗教と科学と対比されること。宗教即ちキリスト教は神の恩恵を教会など聖職者を通じて人々に施されるものだったのが、魔女が魔女自身の手によって人々をを救っていたわけで、当然神の恩恵などというのは気の持ちよう程度以外のものは実在しなかったし、当然魔女は魔法なんて使ってたわけではないから、魔女自身が薬草だとか経験によって得られた知識をもとに人々に恩恵を施してたわけで、その知識や技術は近代以降は科学と呼ばれるものに近かった。なので、本作で人間側が科学といってるようなものはむしろそれを利用している技術者以外の人間は、インターフェイスにより原理を知らなくても効果だけを得ちゃってるし、個々の技術や知識の積み重ねで体系づけられているという意味では科学なんだけど、実際の運用についてはむしろ宗教的な機能尾を果たしているといってよい。大して魔女が使ってる魔法などというものはもちろん科学のメタファーでもないし、発動にどういう理屈が働いているのかわからない得体のしれないものになっている。
現代日本でも今や虐げられてしまってる側のルサンチマンを晴らそうかという態度は見上げた根性なのだけども、ただ、物語としてどーなの?という感じはする。まぁタイトルで既に言い尽くされていると思うんだけど、この初回からしてヒトと魔女との共生なんてテーマは最初っから破却されてるとしか言いようがないし、なら主人公が人類側を滅ぼすことにおいて、それが成功するかそれとも失敗して野垂れ死ぬかの二択が順当な結末なので、途中主人公が苦難にあっても全体的な方向性として人側が滅びていく展開でないと意味が無いし、また主人公を助けるいい人間とやらがいたところで、ヒト側が魔女など弱者を搾取することによって得られた便利な生活に無自覚で、それでいいヒトだと主張されましても…という感じなので、そんなに思いもよらないような展開になるとも思えないから、読者(視聴者)の感情を昂らせることができても、筋としては単調になってしまうんじゃなかろうかという気はする。