妻小~#12

 終わった。自分も転生だと思ってたから、途中で仏教用語としての転生が出てきてそれは憑依なんだよと主張されて戸惑いはしたのだけども、小学生に「なる」は転生だとも憑依だとも明言されずただ「なる」なんだからそれはそうなんだろうなという感じ。ただ、自分はこのタイトルを昔ネットで目にしたときは勝手に「旦那が何を言っているかわからない件」のような四コマ日常系のクダラナイ話だと思ってたので、シリアスとしては行儀良く終わったな、そのためのエクスキューズなんだろうなという感じ。で、しつこいようだが、これもヨメが小学生になって戻ってくるのは死んで間もなくのことだとやはり勝手に思ってたので、でも10年も経ってということならその間さまよってたと思われる魂は何してたの?と思わなくもない。
 ヨメが憑依した小学生の家庭にDV問題が仕込まれてて、もっと波乱な展開かと思ったのだけども、結局その家庭も改善されていくし、物語の全体的な構造がもう予定調和なので、突き抜け感が全然足りない。確かにお涙頂戴モノとしてはよくできているし、泣けるシーンも多くてこれはこれで全然イイとは思うんだけども、自分はそんな完成度だけが高い物語を見るためにアニメを視聴してるわけではないんだよな。なのでエシカル満載感で自分の中では弾けるものがなかった。最終回でダンナの夢にヨメが現れて…というシーンが出てくるのだけども、ヘンな話、妻が戻ってきて昇天するまでのお話が全部ダンナとムスメが(ヨメが死んで10年後に)見た夢で、今後彼らは気持ちを切り替えて生活していくという夢オチ作品というほうがまだまとまりはつくし、原作者もそう思ってるからこそ最終回ヨメが成仏直後にダンナの夢の中に現れたという胡蝶の夢*1シナリオにしたのかもしれんワナ。

鑑定スキル#24

 花澤ヒロインとの結婚で〆。最終回のシナリオ自体はそれなりによかったけど、ラス前ラストで評価が変わるような作品とは違って、全体の評価をひっくり返るようなことはなかった。細かいことを言えば、敵の策略をこちらの攻撃(それが敵の策略のトリガーになる)寸前で見破るタイミングがご都合主義で、軍志那r揃った情報で既に見破ってないといけないし、寸前まで決断を待っていたのなら、その時までは必要な情報が厚あっておらずあの時にちょうど判断材料が手に入った…という展開にすべきと思う。それをやってないのだからホント場を盛り上げるための手法なのであって、いちおう自分はあらかたの予想が当たった形なのでどうにも。
 あとねー、主人公が姉軍師の鑑定シーンで性格を目にするのも脱力。感っていスキル自体がレベルアップしたと前にエクスキューズはあったけど、あそこは主人公が姉軍師の気持ちを推し量って対応した…のほうが主人公自身の成長にもつながるし、あれやっちゃうと主人公はいつまでもチートに頼って成長しないということになるから、やはり物語が浅薄になる。それとも何か?、現段階では主人公を精神的に成長させてはいけない理由でもあるのかね?。
 あと、論功行賞で相方は元の領地を奪って新しい領地を与え、主人公は元のも新しい領地も両方与えるって不公平なのでは?。もちろん相方の領地を託されるという展開をやりたかった都合があるのはわかるけど、それありきで話を組み立てられてもな。
 ということで、それ以外の最終回単体の大枠はそれなりによくできてたかな。動画も枚数頑張ってたなと思うけど、勝敗の決したバトルに関しては動画部分を頑張られても、物語としてのパフォーマンスは上がらないので…。
 まぁそんなわけで、だいぶ話を整理して一区切りをつけた感じに見えるのでおそらくこれにてアニメ版は終わりって感じかな。視聴対象にしたときからダメだろうなと思ってたから、2クールも視聴し続けてストレスを溜めたのは完全に自業自得だし、第1期でダメだとわかってたのに、第2期の最初が案外出来が良くて「1期がダメでも最初っから変則2クールで編成したのは2期の方が本番できっと見どころがあるんだろう」と見誤った自分の責任なので、そのへんはまぁ。結局単調なんスよ。主人公がスキルで有能な人材を登用、人材が功績を上げる、ご褒美の繰り返し。で、主人公はスキルに頼るだけで精神的な成長がほとんどなく、彼が示す気概もスキルや有能な人材のおかげで気が大きくなってるだけ。彼が器の大きさを試される重要な選択の場面でも、先に進むために大した葛藤も描かれないからやはりい話が薄っぺらく見える。
 デウスエクスマキナ的というかお助けキャラ的な性質は強いけど、最初に登用した側近のにーちゃんとか、姉御肌の魔術師とか、脇役のキャラクターとかキャラ配置はそんなに悪くないのに、それぞれのエピソード単体の練りこみが全然足りなくてどうにもアカンかった。だから最終回の論功行賞のシーンで部下たちが不自然に主人公を褒め称えたりさせてたんだろーなーと思うし、自分はあそこでズッコケたので。まぁ原作は続いていくんだろうし、長期シリーズと考えているのなら今主人公の成長を描くわけにもいかんのかもしれんけど、成長をアニメで描かないんだったらアニメの評価は低くても仕方がないんじゃねという感じではある。

嘆きの亡霊#13

 目当てのオークション品落札の件の顛末。今期がダンジョンの異常とオークションの二編に大きくわけられるので、最初のエピソードでは主人公の持ち味がなんであるのかはっきり把握することなく紹介の段階にとどまっていたのだけども、このオークション編では「主人公がテケトーにぶっこいたことがなぜか的中する」というのが整理されてるから最初っから突き合わせて楽しむことができた。シナリオもそれを浮かび上がらせる構成。曰、

  1. 仮面は危険である→仮面のせいで何かトラブルが起きる展開
  2. No.2の実力者を派→大きなトラブル
  3. 武器を置いてけ→武器を持ってくことが仇になる展開

 ということを読者に予想させるわけで。で、原作者はあらかじめその条件に当てはまる物語を作っていてできるだけ突飛なお話を見せる…わけなんだけど、ははぁなるほどそういう線で来ますかーといった感じ。トラブルみたいなものが起きるのはほぼ確定だから、方向性として読者の予想の正反対みたいなことはないんだけども、ミステリー要素の強い物語ではないし、フィクションだから存分に激しく楽しい展開を用意してくれてたらそれで十分と言える。
 このへんの構造は、まぁ昔からあるっちゃぁあるんだけども、自分が想起するのはアドベンチャーのPCゲー黎明期にあったシナリオ構成で、プレーヤーはまずメインストーリーを読了し、そのあと裏ルートを攻略する手順になってるアレ。裏ルートはメインストーリーとは何の関係もない別の話なのではなく、メインストーリーの裏ではこんな話が起こっていたんだよという暴露系であることが多い。要するに物語の全体構造としては二つの相互相補的な物語が用意されてるわけだが、アドベンチャーゲームの方はそれが物語上パラレルに進行して、この作品だとそれらがシーケンシャルに進行してるという違いはあるが、結局のところ読者は二つの物語を同時に読むことができないから、片方を最初に読んだうえで、もう一つはその答え合わせとして次に読むことになる。普通の物語だと仮にそういう性質の違う二つの物語が組み合わされているとしても、大体程よく混濁されて分離が不可能で、読者はその時々で暫定的な判断を求められるんだけど、アドベンチャーゲームやこの作品だとそれらが割とはっきりと分離されて読者に提示されてる印象が強い。どっちにしろ最初に提示されるストーリーで読者に与えられる情報が少ない、というかぼんやりとしていて抽象的で、答え合わせの答えの時点で、その情報が鮮やかに組み立てられているとか意表を突くという形になってれば読者を驚かせて成功というワケ。このへんの手法が今回はよくできてたなという。
 しかし、このコメディ感だよな。今回なんか主人公が欲しかったオークション商品をダメならきっぱりと諦めるとモノローグさせてるのに、その直後のタイトルコール、サブタイで「何が何でも落札したい」だからな。これが(サブ)タイトル詐欺!とならずに、即堕ち二コマ展開と面白さの要素になるんだからwww。イカしてる以外の何物でもない。
 というわけで、本編に登場してなかった主人公パーティーの残りの三人、主人公の妹にもうちょっと待つと言わせてるから、円盤やグッズの売り上げ関係なくまず続編は間違いなさそう。

*1:夢が現実なのか現実が夢だったのか