山田999#9

 主人公が風邪をひいて想い人に助けられそうになる話。恋愛話はそれはそれでそれなりにほっこりするんだけど、それよかネトゲに新加入するのに紹介で…という流れがちょっと新鮮だった。大体オンラインで知り合ってオフ会で交流みたいな流れがMMORPGの隆盛期に流行ってたと思うんだけど、なんつーか、昔はネトゲで知り合うなんて機会はなかったから、リア友になればどんな趣味かなんて話になって、どちらかが相手を趣味サークルに引きずり込むもんだったように思うので、この、高校の知り合いで誘い合わせてギルドを結成し、それぞれのメンバーがリア友を引っ張ってくる流れがちょっと懐かしい気がしたり。
 別に、リア友の輪を広げるのと、オンラインで知り合うのとどちらが適切かなんて話はどうでもよくって、ただ、地方だと同好の士がそもそも少ないし、都市部だから同じ趣味の人はいてもそもそも人が多いからリアルで知り合う機会は自分の足で探さないと見つからないので、オンラインからオフラインという流れはなるほどなぁと思っていたから、こう、一周まわって基本に立ち返る流れになんか不思議な感じがしたという。

おとなりに銀河#8

 クリパ。恋愛モードに入ると、どうしても二人だけの世界に浸りたいと思ってしまうと思うんだが、今回の話を見てると、周囲に認知されながら関係性が二人以外にも広がっていくのも悪くないと思えてしまうという。
 しかし告白がプロポーズかと思いきや、「結婚を前提としたお付き合い」とか、今までそうだったんじゃないんかい!とズッコケてしまった。

鬼滅の刃 1期#1~4期#7

 遅まきながら気になってた大人気作品を一週間かけて視聴した。ジャンプ系らしい単調さを持ちながらも強いメッセージ性や、カタルシスに至るまでの盛り上げ方がちょっと尋常でない感じ。前回のおさらいをアヴァンでやるだけでなく、AパートのヒキをBパート冒頭で繰り返すのでどうにももどかしいのだが、これおそらく尺をたっぷりとってるからそうやって詰めものをしないと埋まらないのと、自分は一気見に近い形で視聴したからアレだけど、ちゃんと一週間おきに一話ずつ視聴してたら、おさらいが丁寧だなぐらいの認識で気になってなかったと思う。
 最初は炭焼きで、あれだけの数の子供は養えんだろーとか思ってたのだけども、途中で親が神楽舞をやってたので、もしかして地域の神社の役割を果たしてたのかなとか、なら主人公が売ってた炭は実用だけでなく縁起物みたいな属性で買われてたのかなとか、そのへんはよくわからん。
 しかし、敵である鬼の倫理観とか精神性とか、まんまアベトモと同じでビックリした。普通こんなに批判対象が明確に浮かび上がるようなものを少年漫画に採用することは珍しいのだけども、確かにいかにも一般的な悪の描写に偽装してるけども、セリフの端々や設定にそうとしか考えられないような痕跡が浮かび上がっている。作品も一度は仮病で退陣したアベが政権に復帰したその後期あたりから連載が始まってるから、当時の汚職政治に連なる数々のテストケースを描いただけでも、アベが傷つけた日本社会というものに直結してしまうとは思う。
 主人公の正義感がいかにも押し付けがましいような感覚が拭えないというか、キチフェミが暴れまわり、子持ちが自分の子供をペット扱いしてしまい、飼うのがめんどくさくなった猫の世話を親に丸投げしてしまうように、社会に丸投げする世相を見てしまうと、そんなに庶民全体が救われるべき対象なのかと、ちょっと判断を保留してしまうような状況になってしまってるのだけども、これ、絶妙なのが時代背景が大正期であるということ。明治時代は文明開化だとか富国強兵を目指して列強の仲間入りなんて国家としていかにも発展しました…みたいな騙り方がされるのだけども、明治中期に至るまでは社会構造が激変し、割と多くの庶民が貧困化したという事実が「日本残酷物語」なんかで語られていて、地方の衰退が実はその時期から始まっていくのだけども、村落共同体を基本としたメンタリティがまだ残っていたのが明治期に当たる。それが大正期に入ると新興財閥が幅を利かせるようになり、大正デモクラシーで都市部では個人の権利が叫ばれるようになって精神性が激変て、これ以降軍国主義からの滅亡戦争にまで至っていく。明治の元勲あたりは例えば伊藤博文韓国併合に反対の立場だったし、暗殺された犬養毅満洲を中国から奪うことには反対してた。幕末の、外国勢力の帝国主義に危惧を持ってそこから日本を変えて植民地化から逃れた彼らが、周辺国を逆に植民地化することに対しての道義的な観点から、日本が侵略国家になることなど論外と考えていたようなのだけども、それが弱い国なら侵略しても構わないんだという方針転換をしたのが大正期からなのであって、だからこそ主人公が救おうとしている人々は、日本が弱いものから奪うことがアタリマエになる前の人たちなのであって、だからこそ彼は下っ端の鬼ですらもとは人の心を持った人間なのだから、罪は償わなければならないが、かといって唾棄すべき存在として切り捨てようとしているのではなく、惻隠の情が溢れてる描写になってる。
 奇しくも連載が始まった時期というのは、アベのモラハザによって日本人の倫理観が激変中のタイミングなのであって、そのへんたまたま連載の時期と作者の設定がうまくハマったのか、それもと原作者自身が時代の雰囲気を敏感に感じ取ってこれから日本人はヒーローが居たとしても、もう日本人全員が救うべき存在ではなくなってしまうかもしれないという予測を織り込んでシナリオを組んでたのかはよくわからん。
 あと、この作品が人気絶頂期には小学生が主人公の必殺技をよく真似ていたというのをよく聞いたような気がしたが、主人公が必殺技を繰り出すときは華やかな装飾がついて動き自体はよくわからんので、若いが故の動体視力で見極めていたのか、それとも原作漫画でよっぽどポージングがうまいのか、とにかくアニメを自分が見た限り、これをよく真似したなぁというのが実感。
 それに、内容が小学生に本当にウケてたのかどうかもよくわからん。小学生にも色々いるし、特に今は理解度の高い層と低い層の二極化というか、とにかく理解力という点では昔と違って均一ではないので、全体として正確に言い表すことが不可能なんだけど、単純な勧善懲悪ではないし、全体な雰囲気が陰鬱なまま推移し、あんまりカラっとしたところが無いので、これ、本当によく年少者に支持されたよな…と感心してる。