防振り2#1

 1期は結構自分にHitしたので続編を割と楽しみにしてた作品。OPに一期OP、EDに二期OPのWOP構成。スゴイ懐かしかったので一期のOPを使いまわしにしてくれるの結構嬉しかったんだけど、ちゃんと2期OPも用意されてたという。しかしエンドロール見ると、キャストが凄い顔ぶれだなー。
 OPに一期のをもってきたということはおそらく二期も一期と同じ雰囲気でやるよという宣言なのかも。ざっと#1を見ても、やはり新しい社会とは…みたいなテーマが込められているようでもあり、いろんなパーティー同士が競い合うけど争い合うわけではない、ところどころで腕を競い合ったり共闘したりとか、打ち上げを一緒にやって親睦を深め合うとかもうね。資本主義社会における競争が略奪を第一義にした他人を蹴落とし搾取を行う…みたいなものではなく、結局この作品の世界のように、まぁゲームでしかないんだけど、もうちょっと世界をよりよい姿にするために世界中の人たちがどのように行動すべきか…みたいな視点があってもよさそうだよなーとか思ってた。キャラクターたちはいちおう全員日本人のようだけど、性格や趣味趣向が多様なので、アバターはゲームで用意されてる統一感のあるようなものであっても、別に各国人が同じゲームをプレイしているという風に見てもよいんだよな…。
 SDGsとか、まぁ言ってることは間違ってるわけでもないんだけど、だれかれ構わずポリコレ棒を振りかざしてそれで本当に世界中の人たちが幸せになれるの?と思わずにはいられないんだけど、この作品のように共同作業を通じていろんな人たちがつながりをもち、運営(今回いってた主人公対策はモロ日本人が活躍するとスポーツのルールを変更したり製品の規格変更をしたりのあの現象を意識してると思うのだが)は世界中の人たちが協力し合えるようなシステム設計をすべき…要するに国連だとか各国が加盟する条約だとかそういうものなんだけど、これまた現実の国際機関はどれもこれも合衆国の利益のために振り回されて機能不全に陥っているから、こうもっと公平に…みたいな願いもあるんだろうなとも思いつつ…。
 というわけで、ストーリー自体はそう大したものでもないというのは一期同様なんだけど、やはりそういう未来に向けてのメッセージ性というかそういう部分は今のところ健在なのでその辺に期待して。やっぱキャラクターたちが見せてる「世界をみんなで楽しむ」って姿だよなー。

陰の実力者#15

 舞踏会に出場するの巻。うーん、奇妙なバランス感やな…。次のエピソードに至るまでのインターミッションなので、おふざけが入るのはまぁわかるんだけども、これがストレスにならんし、かといってそれ自体が魅力というワケでもなし。そういや昔の娯楽小説の悪役が、悪を成すというより本人の強いこだわりみたいなものを持ってたなーと妙な懐かしさを思い出したというか。ある意味ピカレスク小説っぽい雰囲気なんだけど、主人公は別に悪というより正義の側だし、かといって本人は自分の行動を正義とは思ってないし、そういう正義でも悪でもない微妙な立ち位置というのが、そういや最近のサブカル作品の中では珍しいなーという感じ。
 主人公の薄っぺらさは見せかけのものだとわかるんだけど、かといって敵側が悪というにも深さが圧倒的に足りないし、それってどーなの?と思わなくもないんだけど、敵に悪としての自覚も、やってることは許される筈がないことが分かっているのに覚悟も足りないのは、主人公側と対置するものとして物足りないんだけど、逆にその態度は今の日本の政官財そのものを表してるとはいえるんで、その加減がよくできているというか。作品の雰囲気が読者にどっぷりと浸ることを最初っから許してないというか、では批判要素を見つけようとしても、シナリオが示してることにはちゃんと意味があるということがどうも先回りして対策されているように感じる。最初っから作品に対しての悪印象を持てないよう色々フィードバックが所々に仕込まれてるとかそういう感じなんだよなー。おふざけ要素も、それがなかったら退屈なだけのものになってしまうしで、なんのかんのいって現実の日本の状況も含めて全体が微妙なバランスで成り立ってるような作品なんだろうと、そういう感じ。
 そういや主人公とか典型的な俺TUEEEな感じで、彼を出せば問題が解決してしまうデウスエクスマキナ的存在なんだけど、物語上のバランスブレーカーって感じが全然しないんだよね。主人公的な役割はヒロインズがやってる感じで、主人公はむしろ狂言回しなんだけど、最近視聴したアニメでは平家物語のビワのような、歴史の大舞台には関わらない語り部って役割ではなく、やはり主人公のように番は張ってるわけで、この作品において作者がキャラから何を捨てさせて、その代償として何を得てるのかまで分析してないので、どうもイマイチこの作品の魅力が言語化できていないというか。

久保さん#1

 モブである主人公に女の子が絡んでくる話。どっちが先かなんて調べるのがもう面倒と考えるほどなんだけど、高木さんクローンって感じ。関係性が固定していてウザがらみをネタにしたイチャラブコメって感じなのだけども、主人公がモブという点で極端なのがポイントなのかな…。
 後半を見てる最中に思い付いたのだけども、極端に描かれてはいるけど主人公は自分に言わせりゃフツーの人なので、これが支持もされアニメ化もされるということは、結局日本の若者があまりにも「何者かになること」による強迫観念を抱いてるのかな…というもの。高木さんにおいても主人公はフツーの人だったのだけども、アレはもうそのフツーが自然に描かれていたのだけども、この作品だと彼のもつフツーという属性が、世間一般では人権を持ってないように描かれているように感じる。
 幼少時の関係性がずっと続いていくという地方ならともかく、その地方ですら地元に就職先がなくて、関係性は中学校高校でガラガラポンがアタリマエになっているし、都市部ではもっと関係性が希薄になっているんだから、個人においては自分の半径50㎝以外の人には基本無関心…のはずなのに、主人公の立ち位置ってのはむしろ一般的なのでは?とも思ってしまうわけなんだけどね。孤立を嫌ってうわべだけの関係性ってのがそんなに大事なのかとも思うし、若いころは社会が見えずそれに縋るしかないってのもわかりはするんだけど、こういう作品が出てくるあたり日本も極まってるんだなーみたいな。