まちカドまぞく2#1

 夏休みを迎え、シャミ子の両隣に桃とみかんが越してくる話。ダメだ~、初回から泣くような話でもないと思うんだけど涙が流れる。第1期のヒキが、正義の味方であるはずの魔法少女桃が魔族側にコロぶという割とアブノーマルな展開だったから、それでかつての敵同士(といっても日常そう険悪な関係でもなかったのだが)が手を結んで問題解決にあたる…という胸熱の流れで、初っ端から怒涛の展開でもよかったのだろうけど、この作品らしい関係性を積み重ねるシナリオ。シャミ子はどこか抜けてるアホの子ではあるんだけど親子ともども面倒見がいいし、車寅次郎のような人懐っこさと懐の深さを持っていて、しかも寅さんより人と人との距離が近いんよね。それが正義の味方をやってる桃は行動原理がこうあらねばならない、こうすべきであるってことに縛られてて、前にも風邪をひいたか熱を出したかで寝込んでいた時も、彼女を気にかけてくれたのはかつて彼女が救った世界の人々ではなく、対立関係にあるはずの魔族シャミ子なのだから、そりゃ転ぶわさというもの。
 シャミ子は対抗心はあっても悪意はなく、裏表のない性格だからそこに桃がほれ込むのもわかるし、そういう関係性を見せることによって、人と人とがつながりあっていく様子を理屈抜きでパッと見せてきてるわけで、24区を見終わった後にこの作品を目にすると、そのあり方の落差に驚いてしまう。まぁこの作品に自分が惹かれるといっても所詮ファンタジーであることは変わりがない。でも理想を述べるなら述べるで、24区の感想で述べたように、多様性を重んじるあまり、自分は自分、他人は他人と線を引いて、自分の価値観とやらを守るために「権利を認めろ」とハリネズミのようになっていたらそりゃ繋がりなんてできるわけないジャンってなもんで、そういうのとは対極にある作品なんだよな。