マギレコ3#1~4

 延び延びになってたマギレコ2の終結編。うーん、解釈が間違ってるのかもしれんが、結局桃髪の主人公はきゅうべぇの都合の良い世界を守ったということのように見える。個人的には桃髪の妹を含む妹分3人が行おうとしていたことのほうが正しく、妹が抜けたあとも「魔法少女の存在をなくせば魔女もいなくなる」計画のほうが世界は救われるという気がするのだが、それを阻止してなにやらハッピーエンドのような終わり方なのは意地が悪いな…という感じがする。
 元々が魔法少女になることと引き換えに願いをかなえるという前提条件があって、その願いをかなえるということは現代社会において借金をして欲望を実現するということにほかならず、今の後期資本主義のあり方そのもの。前作からしてその願いは基本的に対して価値があるわけでなく、その契約をすることによって一生背負いきれない借財を引き受けることになり、ボロ雑巾のように使い倒された後は魔女化して、最後には魔法少女に倒されて存在が抹消されるという業の深いシステムなので、いやいや最初に借金をしてまで願いをかなえようとするのが間違ってるんでしょというしかないのだが、それでも結局世界の結構な部分の人間たちが、その詐欺としか言いようがない後期資本主義に縋りついているのであって、その滑稽さを描かずに現状が維持されました…とか、現代社会に対する痛烈な皮肉としか思えないのだがどうか。主人公の妹の話がようやっとでてきたわけだが、主人公が魔法少女になることによって妹を一時的に救うことができたが、その妹はその姉を助けようとして魔法少女になり、結局その妹、そしてその妹の友達すら命を散らすことになってしまったわけで、冷静に考えたら主人公は魔法少女にならなければ、妹に一時的な命の猶予を与えられなかったかもしれないが、妹の友達の命を散らすことにはならなかったし、その後も彼女のお陰で助けられることになった魔法少女がそんなにいましたか?といわれるとそうでもないわけで、結局多くを望んだがために大きな犠牲を払うことになるシステムは温存された…という話なのであって、身の丈に合った生活をし、多くを望まなければ見果てぬ夢は見られないが、でも大きな代償を払うこともないというごくごく普通の生活に戻るだけなのでは…と思う。身の丈に合った望みをしないから大きなものを失うし、そういう自分が馬鹿な選択をしてしまったということを認められなくて、大きなものを失ってもその選択をした事には大きな価値がある…と後付けで言い訳をせざるを得ない、そういう取り繕いの構造が自分には見て取れたと思うのだがどうか。
 なんか複雑な気分ではある。魔法少女をなくせば魔女もいなくなるという解決方法は実にスマートで、でもそれを実現して一旦は大きな犠牲を払ったが、その後騙して魔法少女に勧誘して人々の欲望をエネルギーに変えて、そのエネルギーをパクパク食って私腹を肥やしてる層に痛撃を与えました…というほうが個人的にはそれこそがハッピーエンドだと思うんだけども、そうしなかったのは、現実の反映でもあるし、あと、魔法少女がいなくなったら魔法少女の存在を前提としてるゲームが成り立たないんだろうな…ということもあって、最初っから結末は決まってたんだろうなという。
 弱者は単独では何の力にもならんから、繋がるしかないというテーマも、どうなるんかとおもったのだが、弱者同士がつながって大きな力になり、魔法少女を搾取してシステムが維持されるという大きな構造を壊すこともなく、結局その搾取システムの中で弱者同士が助け合うというのは、こう搾取されることによって積み上がっていく心の闇のガス抜き程度の役割にしかなってないので、逆に搾取システムを強化することにしかなってない。その辺も含めて、世の中そう易々と変えられるものでもないし、絶望の中に希望を見出すことになっても結局それは大きな構造を変えることなく搾取システムを強化させるだけというのも現代社会の真理を突いているので、救えない結末だなとも思うんだが、世の中そうだよなーと妙に感心してしまったりという。そういう意味ではよくできた作品だったと思う。