スパカブ#12
鹿児島の最南端までツーリングする話。前回から気になってた椎にとっての春はなんだったのか、を考えてみてるんだけど、もしかしてカブを買ったってこと?。小熊と礼子にとっては、春を捕まえに行くというのは長距離ツーリングに行くためのダシにしか過ぎなくて、二人にとってはカブに乗ることによって得られた友人関係や成長という意味では変化が全くなかったように感じるし、個人的にはそうとしか考えられん。椎についてもわざわざモールトンを壊して退路を断ったうえで、小熊と礼子をダシにカブを入手しなくても、フツーに欲しいから入手で構わないのではというふうにしか思わん。
ちょっとつらつらと考えていたんだが、昔は自転車の延長線上にスクーターがあって、ちょっとした用事を片づけるためにバイクを利用するって感じだったと思うんだが、今だと大分様相が変わっていて、自分が住んでるような地方都市より格下の地方だと、もうバイクという段階をすっ飛ばして誰もが自動車に乗ってしまうのであり、中間状態であるそのバイクはもうほぼ姿を見なくなってる。自分が用を足すために近場のスーパーやドラグストア、コンビニなんかにいってみても、ジジババですらもう自転車か自動車の二択なのであって、カブどころかスクーターなんかもほぼ見なくなってしまってる。これが都市部だとどうなっているのか今一住んでないからよくわからないのだけども、首都圏に友人が住んでいてそこを何度か遊びに行ってみた感覚だと、まず自動車を持つだけのメリットがないから公共交通機関を使うのがデフォルトで、あとは徒歩か、駅の駐輪場にたくさん自転車が並んでたから、結局乗り物は鉄道バスか自転車のやはり二択なのであって、あんまりバイクそのものは見かけない感じだった。自分もネット経由で、いわばホビーとしてのバイク乗り、ネイキッドかレーサーレプリカが人気を二分してた時代もとうに過ぎ去っているらしいのは知っていたので、ホント、バイクが特殊な乗り物になってるんだなと今更ながらにおさらい。なので、とても自動車が将来も買えそうにない貧乏人である小熊をメインに据えたのもそれはそれで納得。やっぱ椎の立ち位置に違和感がある。もう自転車の延長線上に原付があるという時代ではないのだから、自転車とバイクを使い分けるでいいじゃんかと。前にも言った通り、仕事上で出かけなければならないのだけども、自動車を繰り出すまでもない用事で原付を使うのは別に不自然でも何でもないので、フツーに原付おねだりで構わないジャンかと。
しかしまぁ今回山梨からまさか鹿児島くんだりまで出張るとは思わなかったんで、前回の、椎が救助を求めても親には連絡しなかった展開ってのは、彼女たちが親の保護下になくても危機管理能力があるんですよということを示して今回の長距離ツーリングの許可をもらうとか説得性を持たせるとかそういう意図があるんだなというのはわかったので、やはり椎の春云々がよくわからんというか、原作者も自分の考えていることなんぞ百も承知だと思うんで、ではなんでそのような仕立てにしたのかの意図がわからないのは自分がまだまだ読めてない部分があるんだろうけど、それにしてもこの違和感はなぁという。
しかし、結局のところ長距離ツーリングの流れ自体はよかったので、いやまぁカブでどこまでも行けるというテーマもさることながら、集大成としてこれを最後に持ってきたのはなるほどではあった。ビジホ満喫を利用しての貧乏旅も微笑ましい。
なんやろ?、絵も端正だし、間も十分にとって雰囲気もなかなかよいものが出てたと思うんだが、アニメスタッフの中途半端なアレンジがどうにも違和感を呼び込んでしまうのがもったいないという。原付を得て世界が広がっていくその感情感覚という軸も別にブレてないし、全般的には悪くないと思うんだけど、どうして災厄を呼び込んでしまいますかね…。