フルダイブ#9

 玲於奈が事態を何とかしてしまう話。あと、なんか神妙な面持ちで思惑を語ってくれるらしい。
 ゴブリン襲撃で主人公がなんとか切り抜けて、それまでいじめてた側がやられてしまう展開かと思ったらそうではなかった。攻略サイトでは傭兵団に入ると確率が低いが、称号を持ってると生き残る確率が大きくなるとか言ってたので、そのへんが打破のきっかけになるのかとも思っていたのだが、なんとデウスエクスマキナだったという。傭兵相談所での対応あたりも、今の日本にいろいろある相談所が何の役にも立ってないことの提示だと思うんだが、こういう展開にしたのも結局権力勾配で一度こういう構造ができてしまうと、よっぽどの擾乱要員がないと自分の努力でも他人のちょっとした支援でも解決の方法がほとんどないってことなんだろうか。ネットでもそうだが、パワハラが解決したというケースも、ちょっと前までは上長が理解あれば相談でなんとかなったというのも目にしていたのだが、この2~3年ほど、そういう例を全く見なくなったので、結局常態化してしまったのねと思うとなるほどそういうことかとも思う。
 官邸がいろいろなTV番組を監視して、自民盗にとって都合の悪い主張をしてるところには圧力をかけてるらしいので、勧善懲悪の時代劇がその影響でなくなっているのかもしれないし、しかし、そのような状況だと仮に時代劇が復活したとしても、悪を懲らしめる存在が壊滅してる現状、そんな夢物語を見せられてガス抜きさせられてもなんの役にも立たないワケで、それで企画も立ち上がらないのかも。ただ、半沢直樹シリーズが大ヒットしたところからすると需要はあるのかなという気がしないでもない。
 で、ふりかえると、一旦構図が固定化されたいじめを、自分の力で解決に導くという展開はそりゃファンタジーだったらいくらでも作れそうだが、この作品のモチーフの一つが、現実を忠実に再現した…という触れ込みでもあるわけで、それ考えたらファンタジーはファンタジーでももうちょっと視聴者に見果てぬ夢を見させない形での作りごとにしてしまった方がよいという判断なのだろうと思うと、あーそれはそれで納得できるというか。主人公を取り巻く環境が改善してメデタシメデタシというよりは、ありえない状況で改善させはするが、ラストに至るまで緊迫感を高めたりリラックスさせたりするその微妙なバランスを取りながら事態が進行していくその流れを作ろうといろいろスタッフが苦心しているさまが結構考えさせられるものがったというか。検討会議があったらかなり意見が出てたでしょというか、いやシナリオスタッフが脚本を考えるにしてもそこそこ悩んだでしょとは思われる。

スパカブ#9

 冬支度としてウインドシールドをつける話。ハンドルカバーの件があったから、そんな試走させてもらったら即落ち二コマになるでしょという展開は誰でも読めたはず。実は最初のうちは、スカートだとそりゃ風を巻き込んで腰回り全体を冷やすから大変でしょ、でもそれを解決する方法なんてズボン履くぐらいしか思いつかないって予想してたからシールドは選択肢にはあったけどそれだとは思ってなかった。レーサーレプリカタイプのバイクなんかも、申し訳程度のシールドがついていてこんなの機能してるのか?と思わなくもないんだけど、アレ、ちゃんと風防実験して流路を考えて作っているからバカにならないらしい。ただしレース用途だから防寒ではなく空気抵抗を下げるのが目的だが。実際に乗ってみて、ちょっと姿勢を起こし気味にして風を受けるようにしてみると確かに風当たりがキツくなる。
 羊毛は結局のところめんどくさいもののほうが信用できるというセリフと、こんなのがあるんだドヤァあたりが目的なんだろうという気がした。めんどくさい…の理屈はわかるんだけど、年々そういうものが減り続けているような気がしないでもない。自分の身の回りのものについて思い出してみると、包丁と自転車のサドルぐらいかなぁ。包丁はステンレスではなく鋼製、サドルは革製を使ってる。人間なんでも改良してしまうってのはスゴイことで、なんのかんのいって代替品や改良品を次々に作ってくるような。今回のように素材そのものであると難しいのだろうが、工作とか技術で何とかなるものは、工業の近代化や大量生産で手作りのものより性能の良いものができてしまうし、性能と価格とのバランスを考えるとやはり技術の進歩と大量生産によるコストダウンの効果は手工芸品を圧倒するし、常に改良し続けないと他との競争に負けてしまうので技術の進歩は資本主義的に止められないという。大量生産できる製品の世界では職人は絶滅してるし、伝統工芸品も安い大量生産品で代替できるとなれば職人が低賃金にならざるを得ない現状がねぇ。消費者としては安く製品が手に入るのはありがたいんだが、そうなると行き着く先は人間が働く場がなくなってしまうという。
 ウインドシールドはあったほうがよいとして、でも今ぐらいだったら羊毛にこだわるより、バッテリーから電気を取り出して電熱服にでもした方がよっぽど機能的なような気はする。