友崎#11

 結局文学少女への告白はやらずにいたら、日南と断絶状態になってしまう話。自分てっきり告白してフラれると思っていたから、こういう展開を目にしてあーやっぱそうだよな、青春モノなんだからとか思ってしまう。というか、どっちにするかは作者の裁量なので、今後話をどう振っていくかが決め手になるというしかない。
 まぁそれでも結構ツッコみどころというか、話の進め方がオカシイとかそういうのではなくて、そういう設定が結構クスリとさせられるというかそういう場面があって、例えば、水沢がやっぱりACでしたか…と思いつつ見てたら主人公に感化されてついに自分を獲得していきますか…とか、でも水沢のやりたいことって結局女と付き合うことなのか…とか、で、女とつきあいたいってことはそれも結局異性の他人からの承認欲求が強いんだろうなとか、いかにも現代的のような感じ。男なら大志を抱けだとか、天下国家について論じろとは言わないんだけども、自己実現とはちょっと距離を置いたところになにか情熱を傾ける何かを見つけてほしかったというか、そういう爽やかさが個人的には欲しいんだけども、この作品がそもそも資本主義社会の歪みだとか恋愛工学の虚しさとかとかがテーマの一つなんで、そこから簡単に解脱されてしまっては、せっかくレギュラーメンバーとしてキャラ付けしてきたのに退場させてしまうしかなくなるのは、まぁ物語の展開上できんことではある。
 しかし日南周りの話が結構オモロイというか、今さらながらに気づいたのは、日南、割と「飲み会を絶対に断らない女」「総理怒ってますよ」のあの人そのものなんだよな。15万のワインや4万の日本酒で接待というので大問題と認識されたから、さすがにこの作品がアニメ化されたのがアレを意識していたからってのはあり得ないんだけども、出世のためなら自分の身を進んで投じるだとか、他人を道具として扱う態度とか、もう奇妙なほど構成要素が一致していて驚く。今回の日南のつぶやきからすると、彼女は最初はそれほどでもなかったのかもしれないが、友崎になにか期待するものがあったという示唆だし、もしかするとそれは厳しい社会を生き抜くのに共に手を取り合って進む存在として考えていたのかもしれないなとか思ってしまったんだけど、それはさすがに今後を見ないとわからないというか。今話の冒頭で前回からの流れで日南がモーションをかけてきたのもなんのかんのいって友崎にツバつけときたかったんじゃネェの?とも思うが、ならなんで他人とのカップリングを推進するのかという疑問もある。が、別にそれはありえないことでもない*1のだが、フツーに考えると前回の下ネタみたいなことはあれ、それほど性に奔放なという作品でもないだろうからあんまり…といったところではある。
 ただ、冷静に考えたら、友崎と文学少女をくっつける日南のやり方は、まさにいじめにおける「おい、あいつに告ってこいよ」のありかたなんで、それを友崎に拒否されて断交みたいな流れは、ちょっとどころかアンタそれ人間として許されないんじゃね?レベルの酷さ(クラスがまともな社会であったら、このことがバレたら即ハブられるぐらい)なので、今後どう折り合いをつけてこようとするのかちょっと楽しみではある。ただ、日南が断交したのは友崎が自分のいいように動いてくれなかったからであって、決して他人を道具として扱おうとしてた自分の酷さに気づいて恥ずかしくなったから…という風にはとても見えないので、その辺の顛末もどーするんだろ?といったところではある。

蜘蛛T11

 蜘蛛子がさらなる高みを目指す話。勇者サイドも勇者になる再確認だし、蜘蛛子も所詮敵をインフレさせてるだけなので、物語的には停滞してる感じ。さすがに次は新しい展開を見せてくるのだとは思うが、正直単調すぎるので早く先行ってくれみたいな。

馬鹿野郎#11

 レッカ凱帝国とリュート卿和国との戦争始まる。自分割とバトルシーンはどうでもよいと思ってるクチなんだが、この描写を見ると客寄せパンダとかポエム絶叫系というのとは一味違ってて、ちゃんと戦いの意図だとか理念、戦況推移だとかが過不足なく描かれててちょっと感心した。実際両者の主張のぶつかり合いなのだから、それがバトルシーンとして提示されるのは当然だし具体と抽象のバランスがとても良い。
 今回の各陣営の構図もちょっと工夫されてて面白かったというか、レッカ凱帝国の侵略主義は一昔前の、イギリス衰退後の合衆国によるパクスアメリカーナだろうし、逆にリュート卿和国とグランエッジャの同盟関係は、おそらく合衆国と日本とのありうべき関係が仮託されてるように感じた。モチーフが中華だからどうしてもレッカは現代中国のメタファーだと誤解してしまうし、実際今回引用されてる故事は中国由来のものなのだけども、そのへん実際の古今東西の国際関係をごちゃまぜにしてこっそりメッセージとして紛れ込ませてるのは、まぁ前からではあるがさすがといったところ。
 今回ヒキでおそらくアローにはとどめを刺せと指示してたシュウビの友の命をとらなかったアレ、二人の進展した関係性が窺えて胸にクるものがあった。下のものにとてつもない圧力をかけて忖度を促すアベのやり方とは真逆。上に立つものとしての度量をこのタイミングで示しますか…。
 そういやずっと言及しようと思っててその機会がなかったのだけども、アローの信念がないのにロボットを使えるの、アレは「天下水より柔軟なるはなし」だとか、「水は方円の器に従う」とかのモチーフだよな。イメージカラーが水色なのもおそらくそう。信念を持つがゆえに思考が硬直化して、うまくいってるときには強さがメリットになるが、うまくかみ合わないときは逆手に取られてにっちもさっちもいかなくなるということだろう。

キンスレ#25

 魔王アングムンドとの闘いの前座戦。リヒトとマルドゥクの戦いをやって次回アングムンド戦のようだが、個人的にもうちょっとカーセルとリヒトの物語を絡み合わせてから協力して戦うというのを期待していただけにそれは外れたという。リヒトはアニメオリジナルキャラだそうだし、そこはゲームキャラの重みを考えなきゃならないだろう。そういやリピネたん、本当に死んだのだろうか?。リヒトを本当に天涯孤独にするのも後味が悪いし、ゲームキャラのスカーレットとカップリングも難しいだろうからなんかありそうな予感はしてる。そういやクレオ、途中からウザカワキャラでなくなってたな。終盤になるにつれストーリーは深刻度を増していったから、下手に茶化すわけにもいかんのだろう。中盤までパーティーのマスコットキャラというより、トラブル寄りに描かれてたからその辺の判断は特にいうこともなし。
 しかし本当に積み上げていくタイプのストーリーなんだな。最近はこういうスタイルのものをめっきり見かけなくなったから前にも言ったと思うがちょっと懐かしい感じ。脚本もよけいな言葉は削りに削っているから、上滑りすることなく重厚感は出てるし、ホント丁寧な作り。

*1:乙武の嫁が他の女とのセッティングをやっていた…といううわさもあるぐらいなので