モン娘医#9
スカディの診察と治療前夜。次号予告は新しいエピソードのようだが、スカディの話をとっとと進めて次のエピソードなのか、それとも一旦放置して新しいエピソードをやり、それもスカディの治療に生かすのかちょっとわからん。っつーか、エロ暗示が酷くて脳をやられる。しかしまぁシナリオ的には狙ってそうやってるんだろうが、グレンが難しい除去&縫合手術をやれるのも、日常からクナイの再建手術をやってるからってのがうまく出来てる感じ。
しかしなんだな、難病に耐えて死も厭わない元首と、ニセの診断書もしくは診察結果の公表を担当医に拒否されるどこかの首相と、まったく対照的なタイミング。これも時期的には狙ってできるもんでもないから、あまりにもな感じで驚くことひとしお。
ラピス#1～#10
溜めてたのをイッキ見。最初の三話ぐらいはよーできとるわと感心しながら視聴してたんだけど、アイドルものであることを前面に押し出してきてからちょっと退屈だった。#9で主人公たちを挫折させるための展開でそこまでやるか…と個人的にはちょっと持ち直したのだが、ただ、ここでちょっとばかし挽回したところで最終回まで駆け抜けたときにそう評価を爆上げするだけの余地があるかな？と思うと、なんか見通しは立っちゃったよねという感じ。
実は別にシナリオだとか設定だとかは結構よく考えられてるな…とは思うのだが、自分が引っかかったのはこの時代に夢を追い求めるというのをテーマに据えるのがどうにも痛々しく感じてしまう点。もちろん、こんな世の中だからこそお先真っ暗というのではなく、プラス思考で前向きに生きろというメッセージなのはわかるんだけど、それで持ってきたのが何の変哲もないアイドルですか…といったところ。まぁ企画自体が、世の中はアイドルを支持してるらしいから、それを軸に商売的に当たりを目指していろいろ仕組んだものだろうから、そのへんメッセージありきではないのはわかっているのだが…。いつも言ってる通り、アイドルはもう二昔前のジャニーズなんかのように、チンピラ寸前の若者が売れることを目指してマスコミの思惑に乗る…ってものではもうなんともならなくなっていて、これは繰り返し述べていることではあるが、幼少期からのある意味エリート教育がほぼ必須となっている。例えば音楽的素養と言っても、例えば楽譜見て初見で歌えるとか弾けるとか、耳で聞いたメロディを楽譜に起こせる…なんて技術は、それこそ幼少期に絶対音感を鍛えてないと難しい。自分なんかは中学でブラスバンド部に入ったから、そのへん楽譜を読むのがいつまでも大変だったし、上記絶対音感など身につかなかった。音楽ということであれば幼少期から質の良い音楽に触れてないと、なにせ幼児の学習効果は経験に強く影響されるからかなり重要で、それこそ家庭の文化資本がモノを言うのは芸術だけに限らない。
だから、キャラたちがやれ王女様だとか貴族の子弟、富豪の娘というのはリアリティがあるのであって、だからこそ、「え？、貧乏人は夢を追い求めるってムリだよね」という結論にならざるを得ない。元から選択肢のない人もたくさんいるのに、上級国民の皆様方が諦めなければ夢は叶うとか言っちゃってるのちょっと罪深くありませんかねというワケ。
なので、こう、人々を元気にしたいとかいう程度の動機でアイドルになりたいってのは、まぁ姉姫に背負う覚悟がないと言われてしまうのも当然で、歌というより魔獣退治のために魔女を目指した姉と比べたらもう甘っちょろいのなんの。ただ、姉をそのように描き、魔獣に町や村が襲われるということを描いているわけだから、当然そういうふうに描いているんであって、フツーに考えたら残り話数でそのへんを処理してくるとは思う。
最初の数話は、学園都市の描写とかはまだ過疎化が進んでなくてそれなりに活気があった地方のメタファーだろうし、自分で授業を選んで自主性が尊重される学園は昔の大学のメタファーだろうしで、その中で繰り広げられる成長モノとしてみれば良くできているんだよ。まぁ昔の世界名作劇場のノリ。自分がかつて視聴したことがある作品で言えばリトルウィッチアカデミアと同類ではあるんだろう。ギャグもテンポが良いしそのへんよくできているとは思うんだが、その、なんというか貧乏人には夢を追い求めることそのものから切断されてるだろうし、将来日本はどんどんその傾向が強くなるってのが頭から離れなくなってしまったら、もうお戯れにしか見えなくって困ってしまった。挫折の経緯も、構造的に「お前らは自分のやりたいことを表現するだけで、受け手が何に苦しみ、本当に何を欲しており、どう寄り添うべきかわかってないから」と放逐されたということになっているんならアレだが、そうだとしてもそれはそれで、アイドルものを期待してる視聴者にとってはどうでもよいことだろうし、そこをふまえてメインキャラたちが著しく脱皮するのも相当な東郷ターンだなとも思うんで、複雑な気分。
