八男#10

 次期当主の長男がいかに領主としてふさわしくないか示す回。なんかこの長男に、父親ももうちょっと教育したほうが良いんじゃないかという気もするのだが、まぁそれでは作者が想定するストーリーにならないので。まぁこれもバランスなんだろうが、王国としては主人公に領地を与えるためには外征でもして外国の領地をもぎ取るのでもない限り、今ある領地でやりくりしなければならないわけであって、かといって既に今いる貴族でバランスが取れている以上、相続問題で解決できるもんならそれに越したことはないというお話だろう。ここで長男が名君なら困った問題になるが、暗君なら話は簡単で、次期領主の取り換えで庶民の不満も解決できるし、王家としてはその後ろ盾になったということで両方に恩を売ることができる。今回はいかに長男が横暴で、主人公のほうに適正があるということを示して次回は実際の取り換え作業になるのかな。
 ブランタークが自分の持ち込んだ食料しか口にせず、酒すら断っているのは暗殺を警戒してのことだとしか思えない描写なんだが、とはいえ別に彼がなんらかの危機にあいそうな描写は今までに見受けられなかったし、フツーに見極めに徹していたということなんだろう。主人公が次期領主の座を簒奪するのを警戒してたのかなとも思っていたんだけど、そういうわけでもなさそう。まぁ主人公、いろいろ謙遜している場面があって、そういうフリなのかもと思わなくもないのだが、普通に現代からの転生でそのへんに頭が回らないと考えたほうが良さそうで、しかし、正直こそ最大の美徳を地で行く展開は一種の清涼剤のようにも感じた。
 あと、宗教関係なく死者への弔いの意識、稚拙であっても旅芸人の真似事をしてなんの刺激もない農村に娯楽を提供するとか、いろいろ中世を意識した描写が目白押しでそのへん満足。ヴィルマも大食らいに見合うだけの働きをしてみせたり、長男と主人公が対立する以外はなんのかんのいって出来すぎと言ってよいほど主人公に順風満帆の流れ。貴族になったがゆえの身動きのしにくさをもっとやるべきと思わなくもないが、尺も尺だし、限られた期間内ではたしかにこれが精一杯かも。

かくしごと#10

 次号予告と併せて考えると、〆に入ってるんかなという感じ。最初の頃は主人公もう死んでるのかと思わせるような雰囲気だったが、前回そうではなさそうみたいなほのめかしもあったし、よくわからんところ。予定ではあと2話分みたいだが、今まで思わせぶりのように伏線を仕込むってことが少ないように感じられるので、案外こぢんまりしてるなってイメージ。とりあえず、姫が高校生になっている時点で漫画を書いてないことだけは確定の模様。