はるかな出張版、高校選手権女子決勝

 結局フルセット視聴してしまった。本当なら第2セット見終わった時点で勝敗の行方は見えていたようなもんだったが、それでもなんで金蘭がその後セットを落としたのかというのも気になっていた。
 よくわからんのは東龍が準決勝で見せた、相手チームをゆさぶってブロックを外して得点するというシーンがほとんどなかったこと。終始サーヴカットが乱れてたので、良い攻撃の形が作れなかったのだと思うが、それでも準決ではそんなにレシーヴ能力が低いとは思わなかったのでなんでやろと思ってた。
 一つ大きな要因は、もう試合が始まる前から東龍の生徒は怯えきっていて、精神的に不安定になっていたところかなとは思う。もう試合なんてやらずに会場から逃げ出したいという、強烈なプレッシャーに負けてしまっている状態。で、その会場から逃げ出したいとでもいう雰囲気は金蘭のほうにもあったんだけど、金蘭の生徒は本当のところ負けるとは思っていないという自信ともつかないちょっとした余裕があったので、それで自分も金蘭有利と最初に感じた。
 これは推測に過ぎないのだが、東龍はそれまでの攻撃方法ではなく、パワー勝負に出たいと監督に申し出て、そういうスタイルで金蘭に打ち勝とうとしてたんじゃないか?というものがある。とはいえ、優勝という誘惑と比べたら些細なことだと思うのでその可能性は低いかなといったところ。やはり感情をコントロールできずに一つ格下のチームによく見られる、混乱したらとにかくエースに上げて大砲を利用するという単調な攻撃になってしまっていた。むしろ移動攻撃で得点してたのは金蘭のほう。途中東龍の監督も指示してたが、チャンバラになってしまっていて、相手を観察して一番可能性の高い得点方法を選択するということができてなかった。これで決めるしかないという攻撃方法だから、そのへん精神的に若干余裕のある金蘭に観察されて見抜かれていた感じ。
 ヘンな話、レシーヴ力は東龍が上回っていたように感じていたし、感情が安定していたら十分優勝できていたんじゃないかと思う。精神が安定せず自分たちの持ち味を出すことができずに、自滅したという風に見えた。とはいえフルセットまで持ち込んだんだからそれほどひどい試合だったというわけでもない。
 金蘭の勝因は個人的にはやはり宮部の安定性だと思った。チームの他のメムバーが不安そうにしている中、宮部だけがぜんぜんそういう表情をしてなかった*1のでこりゃアドヴァンテーヂだなと思った次第。試合でもセッターにしてみれば、宮部はいつでもアタックが可能な状態でいてくれているので、他のアタッカーの準備ができれば攻撃の選択肢が何通りもあって攻めやすく、他のアタッカーの準備ができていなかったら宮部に上げさえすればほゞイーヴンの勝負をしてくれるので安心感は半端ないだろう。
 大きな舞台に面してその雰囲気に呑まれ実力が発揮できないってのは甲子園なんかでも見られることであって、能力の高いところでは互いの潰し合いになることもあるので、そのへん外野がやいのやいの言っても仕方のないことではあるが、さすがに名勝負と言えるほどのものではなかったかなといった感じ。

*1:自分もそれに気づいたのは途中からではあるが