女子の試合を視聴しようと思ったのだが、試合は終わっていて予想通り金蘭が勝ってたのだけど、動画配信が始まらないので間もたせに男子決勝を結局全セット視聴してしまった。洛南3-0清風で、どちらも名門校。
一回戦の男子の試合を視聴した段階では割とのんびりしているなという印象だったのだが、決勝戦ともなると大分成人の試合に近くなってる。とはいえ国際試合とは違ってネットは壁としての役割を果たしているものゝ、女子と違って大砲の高さが違っている感じ。見ている限り、高さを稼いで勝負してる男子は、もうネットの上端に目が届いている。ジャンプの程度によってはもう鼻や口付近まで届いているので、そういう場合、ブロッカーやスパイカーはネット越しに相手コートが目に入っているだろう。男子のネットの高さは女子のより約20㌢ほど高いのだが、チームの平均身長やスパイカーの身長は10㌢ほどしか違わないし、手を伸ばしたところで手の長さの超過分は身長の超過分ほどプラスされないので、やはり男子のほうがジャムプ力があるはず。女子でも相手コートがネット越しに見えている選手もいるだろうが、その数はおそらくほんの僅かで、全体的に見ると、女子はネット上端にあるガラスの天井の下で試合をしているのに対し、男子はガラスの壁の上で勝負しているという風に見て良いと思う。そうなるとインドアとビーチほどの差は無いにしろ、男子と女子の試合は別物なんだと改めて気付かされる。
男子の試合推移は、結局サーヴを受ける側が攻撃をして、それが成功するか失敗するかで終わる感じ。女子はラリーが続く印象だが、男子はラリーといえるものがほとんど見られなかった。そしてこれこそが自分が男子の試合を見てもそんなに面白くないという理由にもなってる。バレーボール競技としての正統派は男子の方だと思うのだが、結局ラリーが続かないということはボールを通じたコミュニケーションが成立していないわけで、そこに物語性は存在しないんだろうなと思ってる。必要とされる戦術やスキルはほとんど変わらないのに、見え方が違うということ自体は面白いのだが、結局男子の試合は強さを競ってるだけでゲーム性が希薄。
男子のゲームの特徴は、バックアタックが女子より多いこと。なので女子がブロックを外そうとしていろいろこねくり回している小賢しさはない。前三枚にバックアタックの四種類をマスターしておけば攻撃の種類はその組み合わせでなんとかなる部分も多いのだろう。余計な動きは体力を消耗するし、決定力のある基本を磨かずに多彩さを追いかけていれば決定力が弱くなる。逆にやることが少ない分、相手をよく見て選手自身が判断してゲームを組み立てることが重要だろうし、この決勝戦でもそういう雰囲気は感じられた。逆に女子は複雑なフォーメーションを繰り出しても、そこに選手自身の判断は希薄で、機械的な動作のように感じられる。女子の場合、進化の方向性を考えたらトレーニング方法がそういう風に組み立てられてしまうという業の深さもあってなかなか難しいところではある。
女子の決勝戦、金蘭が勝ったといってもフルセットだったから、東龍もそれなりに健闘したんだなという気がするが、ヘンな話、予想があたったということは実際の試合を確かめなくても構わないっていう気にもなってる。そして金蘭が優勝することは自分のようなドシロートでも想像できるぐらいの実力差なんだから、おそらく今大会に出場したチームの監督は全員予想できていたはず。もっと踏み込めば選手ですらそう思っていたんだろうなという感じ。そういうのがわかった上で、金蘭以外のチームの監督は選手たちに優勝を目指せと発破をかけて練習させなきゃならないのだから心中察して余りあるものがある。