Re:CREATORS 第12話

 ん〜、スケールが小さくなっちゃったね。
 やっぱり主人公に加害性を持たせなかったから、スティグマが卑小になってしまったという感じ。とはいえ、正直なところ回想シーンで主人公とセツナに恋愛的要素も絡めていたろうし、主人公がネットリンチに参加してたとか加害性を高めたところでお話が面白くなるわけでもないんだよな。当然制作側で検討はしたであろうし、実際この作品の見所は別に主人公の成長モノとしての部分ではなくて、構造の面白さだろうから当然の判断ではある。せいぜい助けを求められていたのに無視したというところが限界なんだろう。だが、それで主人公がアレだけ後悔するのも大げさだし、彼を糾弾するのもかなり筋違いのように感じられる。
 但し、この提示で、軍服の姫君の世界改変の動機が今一わかりづらくなったかなというところ。今回語られたのはセツナの思いは自分の好きなように絵を描いたり動画を作成したりなのであって、ネットリンチにあったから世界に復讐したいとまでは読めないんだよな。もちろん今までに示された情報がすべてというわけでもないので、そういう語られないセツナの本音がどこにあるのかというのは今は伏せられていると考えるのが妥当。いま軍服の姫君の動機は、もはや原作者が物故して二次創作が原動力っていうのなら、果たしてその二次創作者が軍服の姫君に己の動機を仮託しているのか?と言われると、それも違うように思うので、やはりそのへんかなぁと思わざるを得ない。
 アリスちゃんの原作者もなんか情けないというか、商業レヴェルの作家が駆け出しでもなかろうに、自分の作った世界観を視聴者にどう提示するかなんて考えてないわけがないのに、あのかけあいはないなとしか。今となっては売れるために魅力的なキャラに仕立て上げるということはあろうけど、それだけに留まって自分の作家性を否定するような定型エピソードだけを作品として世に問うってことはあまりに現実の作家をバカにしているとしか思えないし、なによりキャラはあくまで狂言回しであって作者の考える構造こそ視聴者に突きつけるってスタイルは広江礼威の真骨頂なのであり、現にこの作品がそうであるわけで、アリスちゃんの原作者嫌な役回りを持たされたなぐらいに捉えるべきなんだろう。
 しかしスパロボ的状況になるのか…。まぁ世界観の異なるキャラ同士がコラボで同一の物語にまとめられるってのは今までにもありはしたんだけど、こうミッションがはっきりしていて統一戦線を組む構図に仕上げるのはさすがだなと思わざるを得ない。まぁそこに持っていくのもちょっとこのテキストは強引だなという気はするのだが…。
 あと、ヒキの新キャラ、もしかしてセレジアの相方なのかな?。一つの物語から出てくるのは一キャラのみって前に言われていたような気もするが、元の物語では仲間なのに、現実世界に連れてこられて対立するってのも面白いと言われたら面白いんだが。まぁ普通に考えて別の物語だろうけど。