魔法使いの嫁 第13話

 エリアス無能。
 すぐそばにいてこの不始末。というか、これ様式なんだろうな。灰の目に口上を述べさせて仕掛けさせる。そしてそれが物語の始まり。自分はずっとシェークスピアとか派生作品ばかりで原典も原典の翻訳ですら読んだことがないのだが、それを踏襲してるってことなのかな。いかにも芝居がゝってるからねぇ。
 あと、チセにエリアスは子供と言わせているけど、どうにも違和感が拭えないんだよね。今回のエリアスのチセがいなかったときは寒い云々からの、それは寂しさだよエリアスくんは、少なくともエリアスが寂しさとは何かということについてあらかじめ知っていることが必要。構造としては他人に指摘されてそれが恋だよといわれて自分が恋をしていることに気づくアレと一緒。他人もすなる恋なるものをまさか自分も…というわけだ。庭に潜伏している神父に差し入れで優しい云々のエピソードからも、別にエリアスに人間の心がないわけじゃなくて、その発露の仕方が独特というだけ。ふと思いついたのは、エリアスは貴族の記号なんかなということ。一般人とは違う価値観で生きているために、交流があるとその違いに戸惑うってだけなのかも。麻生がカップ麺の値段を云百円といって呆れられていて、その値段設定の高さに非難が集中していたようだが、そこが重要なのではない。麻生がそもそも庶民の通う小売店で買い物をするはずがなく、かといって庶民から絞り上げた税金をそれが庶民にとってどれだけの価値を持つのか全然考慮なしに湯水のように特権階級のためだけに使うってことに問題があるのであって、そういう金銭感覚が要される重職についたらダメでしょってことなのだが、まぁその一般人と隔絶した生活感覚だよな。だからエリアスのその隔絶した感覚と、他者と共感できないと言いながらも、感情に関しては別に他者と大幅に違うものを持っているわけでもないその違和感。結局のところ、現段階ではチセがすべてにおいてエリアスに劣るということではエリアスとチセが釣り合わないから、帳尻合わせでエリアスをなにか欠けた存在に設定しているのかなという感が否めない。
 しかしゆっくり流れる日常描写はこれは素晴らしい。極力台詞は少なめにして、人間関係の距離感を視聴者に提示するとか、アニメ化することの目的がひとえにそれなんだろうな程度には思ってしまうわな。