くまみこ 第11話

 まちは自分で仙台行きを決めたのではなかったのか。
 アイドルコンテストに出場するまでのお話。うーん、なんというか、コメディという作りになってはいたんだけど、ナツの慟哭あたりに代表されるように村興しに翻弄される各キャラの悲劇(というほど酷くはないのだけども)という構図。まちは村興しという意義を理解せず、都会に行けるという動機のみでアイドルコンテストに参加することを決意。ナツは村興しはどうでもよいが、まちに「かわいゝ子には旅をさせよ」の親?心で、心にもない甘言を弄してコンテスト参加に誘導する。良夫は村興しだけしか頭になくてまちの心中を察していなかったことを響に諭されるが、まちの翻意で再び村興し方向に。響はまちを観察してまちの本心に沿うように意見するが、まちの翻意でマネジャーとしての仕事に励む。という具合になってる。現状村興しをそれなりに考えているのは良夫だけで、他のキャラはどちらかというと成り行きという性質が強いように見える。そしてまちがアイドルになるということに関しては誰も真剣に考えていないという。そしてアイドルコンテストに参加している他の出場者はおそらくアイドルになることの優先順位が大きくて、おそらく村興しについてはそれほど真剣ではないと思われる。このちぐはぐな構造こそがおそらくアニメを通じて描き出したかったものなのではないかという気はする。オモロイのは、熊出村のキャラはほゞ村を捨てるというものがいない*1こと。一番村を離れたがっているのはまちだろうが、そのまちにしたって都会はあこがれではあるものゝ、村を出る勇気も村を出て自立する力もない。おそらく一番村に依存しているという位置づけのはず。ほんでもって、村興しについても、良夫以外の村人は村興しができればよいが、とはいえ真剣に考えているのは一人もいないという描写だし、一生懸命考えているという立ち位置にある良夫だって、村興しが成功しなければどういう困ったことになるのか把握しているようにはとても思えず、思い込みで突っ走っているようにしか見えない。はっきりいって詰んでいるわけだ。こゝまで視聴してみて類推できるのは、そうでない地方自治団体もあろうが、おそらくこれが大抵の地域興しの実態なんじゃね?という問いかけなんじゃなかろうか。真剣にやったとしても成功する見込みはほとんどなく、かといって実態はこんな感じなんじゃネェの?といったところ。
 次号予告ではなんか思わせぶりなサブタイであったが、ナツに本音を吐かせたところを見ると今回が山場なんじゃないかと思ってしまった。自分的にはこれであとは消化試合なんじゃなかろうかと思っている。どう考えてもあと数話で移住者が来たり、特産品がバカ売れしたりするような展開は想像できないし。

*1:村を出たいと思っている村人はとっくの昔に出て行っているという状態