クロスアンジュ 第15話

 構造が古いのは仕方がないのかね。
 アンジュ達が飛ばされた世界は社会問題を解決できなくて滅びた地球だったという話。地球が二つあるというのがどういうメッセージなのかは確信できないが、ドラグニウムは戦争に使われるという意味では核エネルギーのことだし、アウラの生み出すエネルギーで社会が動くという意味では石油みたいなもので、マナを使う人間の世界は先進国であって、サラの世界は先進国に搾取される第三社会であるのは容易に類推できる。サラの世界がいかにも日本文化っぽい外面を施されているのは何の冗談か?と思わなくも無いが、逆にこれが日本社会のことだとすると、世界が滅びた=太平洋戦争で滅びた日本であり、マナを使える人間社会は、敗戦後、自分達の戦争責任を回避して権力の座に居座り続けた権力層(つまり自民盗や日本会議などの連中)で、サラの世界は、敗戦の尻拭いをさせられ、未だに形ばかりの民主主義というおためごかしの元、上級国民のために低賃金長時間労働で搾取され続けている庶民と読み替えることもできる。いやまぁむしろ庶民はノーマであって、サラ達はいうなれば、戦争責任もしっかりと受け止め、国際社会にも(合衆国の威を借りて弱小国から搾取をしている今の日本政府ではなく)迷惑をかけない存在だろうから、むしろそういう具体的なものが今の日本には存在はしていないわけで、むしろ日本人はかくあるべしという理想の姿*1を描いているのだろう。
 うーん、そういう構図がわかってしまうと、正直自分的にはこの作品は終わったかなと思わなくも無い。仮にこの先の展開としてサラとの協力体制が成立して善戦するだの、リベルタスが成功しようと、エンブリオが倒されるにせよ、それは今の日本の状態を見るにつけ、かなり寝言に近いファンタジーにしかならないし、アンジュたちが敗れるのだとすると、それは今の日本がクソであることを再確認するだけであって、あんまり魅力的になるとも思われない。理想を語るべき物語としてイケイケドンドン的な道のりを通るにせよ、さすがにそれだけしかスタッフが描かないとも思わないので、さすがに見所ぐらいはいくつか作ってくるだろうからその辺ですかねぇ。いや、この話数視聴した段階で随分楽しませてもらったのでハイそれまでよ〜ってことはないんですが。

*1:伝統的な日本文化の形を取っているところを見ると、むしろ戦争責任をちっとも感じていない歴史修正主義的アベ政権とは距離をとって、国際的に見て尻拭いをしている現天皇に近い