甘城ブリリアントパーク 第13話

 これで終わりなのか?。
 と思って、Wikiを見てみると、全14話らしい。どうも円盤は2話構成で、第1巻〜第6巻までゞ第1話〜第12話まで収録、特別編が一枚あって、それに第13話と放映しない第14話が入るらしい。原作をチェックしてないからよくわかんないけど、やはり物語としては第12話で終わりなんじゃないかと。
 第13話は園のPVを作る話で、製作のトリケンがいろいろなスタッフの意見を取り入れてどうしようもない作品に仕上がるというもの。これが、アニメ製作における、各方面の意見を取り入れた結果ダメな作品になってしまうということの暗喩なのかとも思うんだけど、原作にこういう話があるのかも。とはいえ、原作からしてアニメ業界のことを念頭において…というのかもしれず、これはなんとも。もうトリケンのオブザーバーかご意見番だかに指名される千斗のはっきりダメといわない態度がなんともそれっぽいんだよね。わかんないとか言いながら、作品がダメになっていくのを否定しない態度が事なかれ主義のサラリーマンを表していてね…。
 話数調べでWikiその他を検索していたら、なんかこの作品を失敗だと論じるレスをまとめた記事がヒットして、うーん、さすがにこの作品の出来が悪いというのは言いすぎなんじゃとは思った。基本は成功が到達点として指定された再建モノで、そこに今やネズミー一強となってしまった日本の遊園地事情を織り込んでいるもので、ストーリー全体としては特に致命的な欠点は見当たらない。
 見当たらないんだけど、自分的にはどこか決定打に欠ける印象はあって、それが遊園地の各パートの再建要素にそれほどの有機的なつながりが感じられないこと。それぞれのエピソードに問題点があって、それをスタッフが努力して改善されるという流れがあるんだけど、これがねぇ。もちろん物語のスタイルとして間違ってはいないんだけど、アトラクションを努力して改善するというのはわかりやすいんだけど、現代は、それで客が来るようになるという結果にはなかなかつながらなくて、どうもそのへんにひっかゝってしょうがなかった。飲食店のシェフが頑張って上手い料理を作ったとしても、その店が繁盛するとは限らないんだよね。ネズミー商法がなぜうまくいっているのかについては、自分もよくわかってはいないんだけど、あれは多分にネームヴァリューによるところが大きくて、いくらネズミーランドよりアトラクションを面白くしたところで、その面白くした分ネズミーランドより大きい集客効果が得られるかといわれると、難しいところである。ネズミーは版権管理によるブランドのプレミア感を高める手法もすごいと思われるのではあるが、じゃぁ同じことをやったとしてネズミーを超えるものができるか?と言われると、これまた難しい。製造業なんかを見ると、新製品を開発してもフォロワーに真似されて価格競争に持ち込まれて先行者利益とかなかなか確保し続けられないんだけど、ネズミーはむしろ先行者であることが強みになっているわけだ。
 で、やはりこの作品を視聴するに当たってはそのネズミーに関してどう織り込んでくるかをある意味楽しみにしてたんだけど、やりがい搾取あたりのネタもなくて、しかしそれは落ち目の遊園地に取り入れるのはさすがに難しいとは思いながらも、なんか違和感があった。ヘンな話、従業員のモチベーションは結構高いんだよね。いちおう千斗が支配人代理で、スタッフをうまく使えていなかったという言及はあるんだけど、うーんといった感じ。
 言ってしまえば、大人になって労働の実態だとか組織論だとかを自分が考えてしまうために、フツーの物語をそのまゝ楽しめなくなった自分のほうに問題があるのであって、冷静に考えてみればそれぞれの従業員に身の丈にあったエピソードが綴られていて、それなりに出来は良いとは思う。いちおうシリーズ全体としての評価はおもろ+ではあるんだけど、自分としてはプラスアルファが欲しかったといったところ。まぁこれはアレだが、スタッフもこの第1〜12話までの出来を、第13話のトリケンの最初に作ったPVの感想と重ね合わせてるのかもしれんワナ。