咲-Saki- 阿知賀編 episode of side-A 第12話

 結局裏ドラは乗らなかったのか。
 すばらの人と園城寺の支援を受けての玄の和了。まぁ一応玄の成長ということなんだろうが、ドラマとしては園城寺に喰われた形。しかも宮永姉の読みが、あくまで玄のドラへのこだわりという油断?を基にしてだから、どちらかというと、成長というよりはお膳立てプラスラッキーといったところか。すばらの人も園城寺も宮永姉を削るために玄を利用したという形にはなっているが、両人とも玄の打ち筋を理解して支援するという形になっているのに、玄は自分のことだけで頭が一杯だから、あんま褒められたものではない。
 で、後半は和との再会だとか入っていたけど、一応の区切りってことだからということだろう。ネットで拾える情報ではまだ全15話みたいな感じなんだけど、どうなんだろ?。前回も触れたとおり玄で4話も使うんだったら、準決勝が終わるまであと4人の描写および他校の事情までやるとすると、あと3話では絶対足りないと思うんだが。阿知賀女子が準決で負けるんだとすると彼女達の精一杯を描くべきだし、勝つんだとしても清澄と渡り合える実力になったよということを示すために、やはりたくさん描くべきということになり、どっちにしてもさらっと流して終わりってことにはならないだろう。変則2クールが適当だと思うがね。というか、阿知賀編の原作まだ終わってないの?。
 さて、まだ終わってないということで、総評というわけでもないんだが、今回期待していた組織論的な部分はちょっと弱かったかなという気がした。一ヶ月前ぐらいに原作の五十嵐あぐりバンブレの人ってのを目にしてちょっと気になっていた。バンブレは連載が終了したようなのだが、それにあわせてアニメ化されるという話も聞かないし、そういやどういう結末だったんだろ?というぐらいだ。で、実は咲の原作を漫喫でそこそこ読んでしまった。確か清澄がインターハイの一回戦を戦っている途中ぐらいかな。で、小林立の原作を読んでみると、組織論的な部分ってのはアニメに比べると弱めに感じた。で、このアニメの阿知賀編は、やはり組織論というよりも、個人個人の繋がりを重視した、人間ドラマに振った作品のように思える。バンブレを今思えば、あれは個性豊かな部員がゆるやかに繋がるという感じで、そういう部員達をまとめるためにはどういうシステムにすべきか?といった視点はあまり感じられなかった。となれば、こうなってしまうのもなんか仕方が無いのかな。
 まぁ現代日本の経済状態を考えると、もう従業員を切り捨てゝ、上層部だけが延命もしくは肥え太るという状況だから企業に頼るのは危険になっている。自民盗政権時代から進められていた個人分断化を今一度見直し、家族・血縁関係の運命共同体的性質を見直すという流れがあるんだろう。成果を上げるために個人のパフォーマンスをどう生かすか?というよりは、もう生活を成り立たせるために個人がどう繋がっていくか?というステージに入っているような気がしないでもない。この作品はあくまで試合に勝ち抜いて頂点を目指すというのがそれぞれの目標になっており、戦いはするものゝ、相手を倒すというのが必ずしも目的ではないように見える。要するに、彼女達が団結なり連帯なりするにあたって、そうするために必要な「明確な敵」は存在しないんだよね。
 というか話は逆で、敵が存在しないから戦う理由が不明瞭になるわけだよ。でも現実社会は明確?な敵がいて、それに対抗するために個人が繋がる必要があったり、理想的な組織が設定されたりするんだよな。が、この物語を見てもらうと一目瞭然なんだが、対戦を積み重ねていけばいくほど個人や組織が繋がりあうわけだ。まぁ転倒してるわな。敵なり課題解決のために繋がるハズなのに、戦えばその結果繋がるってことになれば、組織って意図的に組む必要ないよね?ってことになる。「想い」さえありゃいゝんだろ?ということになれば、その想いを描写すればよいのであって…という流れにもなるだろう。
 というわけで、なんか自分的には退行してしまったような感はあるが、とりあえずの休みであって、続編を期待して待っていたい。