やっぱⅠのほうが迫力あったな。貧乏人を喰いモノにする金融･支配者層、斬り捨てられる社会保障に医療、そして教育など、すさまじい合衆国の実情が語られていた。今日本でも非正規雇用が深刻化しつゝあるが、向こうはもっと酷いようだ。前にトヨタ北米工場が現地労働者に時給$26払ってたなんて書いていたが、そういうのは極々恵まれた一部の労働者だけのことらしい。今や大卒でもファストフードのバイトをせざるを得ない若者が多く、その時給は日本の最低賃金600〜700円をはるかに下回る。しかも奨学金はほとんど無く民営の高利率の学資ローンしかない模様。それも昔は公営のものだったのが民営化されて年利8％だのになっているらしい。しかも何の合意も無く利率を上げてくるらしい。不法移民は足元を見られて時給200円とからしいが、コレ、日本の農業研修制度と同じぐらいだよな。エグい、エグすぎる。
驚いたのが教育関係で、あちらでは落ちこぼれ0法案ってのがあって、成果を上げられない学校はお取り潰し･民営化、教員はクビらしい。いちおうウィスコンシン州での落ちこぼれゼロ法との戦いについて - Togetterにも記述があるが、この本のほうがわかりやすいかな。まぁそれはともかく、橋下がやろうとしているのがまさにこれと同じことのように感じた。合衆国のほうがまだ点数で判断するからわかりやすいが、橋下は教員をクビにするのに保護者や生徒の意見を取り入れるんだろ。医者でもそうだが、クレーマー、いやモンスターペイシェンツ、モンスターペアレンツってのは基本彼ら基準の手前勝手な論理で専門家でもないのに私欲をゴリ押ししてくるわけで、そういう素人に判断させるなど橋下のほうが罪深い。低学力の生徒に低姿勢で丁寧に教えているであろう大阪の公立校教師を叩いて、それで出てくるのがワタミのような私立だろ。はてなブックマーク - カワイ韓愈 on Twitter: "ワタミが買収した私立学校の玄関のようす。 http://t.co/P3PujrHx"で、低学力層は学歴が欲しいなら高い学費を払ってワタミ流の恫喝教育を受けざるを得ないようになるわけだ。低学力層って生徒もその親もバカというか、天に唾するっていうか、愚かなんだろうなとつくづく思う。
で、合衆国は落ちこぼれ0法を生徒も教師もNo!を突きつけているんだが、日本だと一番の被害者になるであろう生徒は喜んで特権階級の手のひらで踊らされて教師を叩くだろうし、教師は上層部に抑えつけられ声を上げることも出来ないんだろうな。斬り捨てられた公立校教師は恨みは忘れないだろうし、といっても彼らは退場させられるから無力だろうし、代わりにのさばるのが強権的な私立校教師だろうから金を持ってない生徒の味方なんてするはず無いだろう。
この本が出たのがもう数年も前なんで、橋下とかこの落ちこぼれ0法がどれだけ濡れ手に粟の効果を持っているか、そしてどれほど教育を破壊するか知ってゝやってるんだろうな。そして橋下は九条批判だろ。合衆国の教育がわざと貧乏人を低学力化し、でも学歴に対しての羨望は煽り、高率の学資ローンしか用意せず、大学に行きたいなら軍に行けとか言ってイラクに兵士として送り込んでいる（実際に軍に行って大学の学資を得て卒業するのは15〜25％ぐらいらしい）わけで、要するに国民の使い捨てだよ。高卒でもハンバーガーショップの店員ぐらいしかなるものがなく、かといって大学に行っても大した職があるわけでもなく、大学に行くには莫大なカネが要り、無い人間は軍に行って命をすり減らすしかないという状況に追い込まれているわけだ。そういう合衆国の状況を知ってゝ、橋下は九条を廃止したがっているし、公立潰しをしてきているわけだ。そしておそらく橋下を支持した（ている）大阪愚民のほとんどは、彼の企みを知らない。大企業だけがよろこびそうなことを言い、もしかすると彼自身は国政に打って出て大阪なんか捨石にするかもしれないのだ。
合衆国の状況はすでにこの日本でも現実化しているものもあり、10年・20年遅れで確実に後追いするものもある。年金・医療・刑務所ビジネスなど述べていない部分もあり、今朝がたには実はアニメ・ドラマ関係なく地域興しについて書こうと思っていたのだが、あまりにもこの本を読んで、橋下の狙いについて驚愕を覚えざるを得なかったのでまとまりもないが吼えてみた。
