異国迷路のクロワーゼ 第3話

 湯音、アイロンを乗せたまゝほっとかない!。
 火熨斗は地方の博物館なんかでよく見るんだけど、今回出てきたアイロンとよく似た形をしたのを見かけるんだよな。幕末に海外から伝わったのが博物館に所蔵されているのか、もともと日本の火熨斗もあぁいう形だったのか判断がつかないんだけど、どうなんだろ?。オスカーや湯音が説明する日本の事柄をクロードが想像しきれないのはよくわかる。よくある勘違いっぽいよな。が、最后夕景でうまく〆たな。
 アリス・カミーユ*1の姉妹?が出てきて次回から絡む模様。どうも百貨店や商店街を手に入れることが出来るほどのカネ持ちのお嬢さんらしい。なんか湯音の祖母の形見を取り戻すのに困難しそうだな。日本趣味が著しいが、フランスの印象派の画家が日本情緒に憧れて絵のモチーフにしたのってあの頃だったような気が。
 湯音は、今回の描写だと庭に日本庭園を拵えることができるほどの家の娘らしい。あれだけの家格だったら、奉公に出るような生活をすることもないと思うんだが、どう解釈したら良いのだろう?。あれほど大きな家だと娘なんて政略結婚とは言わないまでも同じ家格どうしでの姻戚関係は考慮してるだろうし、そうなると使用人込みで嫁入りするだろうに。よっぽど親の考えがしっかりしていて、娘に対して甘やかさない育て方と考えるしかないな。前話で考察した通り、たぶん時代としては明治中期で、文明開化が憧れと共に伝えられているだろうからパリが花の都ぐらいは湯音の耳に届いていたとしても不思議はないかもしんない。しかし、見ている分には微笑ましいのだが、包装紙をとっておいてなにかに使えないかという考えが身についていて、海外に目を向けて単身渡欧し、短期間に仏語を日常会話に困らないほど吸収していて、それであの気立てだろ。どこの超人かと思うわな。
 しかしアレだな、大型スーパーが出来て地元商店街が寂れる構造は当時のパリに実際にあったことなんだろうか?。まんま日本のシャッター街を語っているような気がするんだが。が、日本だってアタックNo.1の頃、即ち40〜50年前から大型店舗進出による地元商店街の衰退の兆しは見えていたワケだし、120年程前のフランスでそれが起きてゝも別におかしくは無いんだよな。自分が当時を知らないだけで。まぁあの当時のフランスはそれこそ語義通りのブルジョワ階級が産業革命以降勃興してきたわけで、アリス・カミーユなんてのはその輩の娘なんだろう。昔「赤と黒」を読んだような気がするのだが、ブルジョワなんてカネに飽かせてやりたい放題だったもんな。でもまぁそこらへんこの作品だと穏やかに小市民の衰退振りを示すんだとは思うがな…。なんかクロードとかお人好しっぽくて、現実にあんな性格だったら間違い無く貧乏まっしぐらなんだろうなと。
 とまぁ、なんか背景にいろいろ抱えていそうなんだが、穏やかな心の通い合いを描くんだろうなと。自分なんかは学生時分にバブルの盛衰を見てしまっているんだが、今思い返してみると、イケイケドンドンのころにこういう作品を見てもポカーンだったかもしんない。豊かな時代に小さな幸せを自覚するのは極めて難しいことなのかもしれないな。やっぱ政財界の猛威が猖獗極まって庶民が苦しむこの時代こそ心遣いが輝いて見えるってのはね、なんかわかるんだけど哀しいな。
 そうそう、クロワーゼ、仏英で対訳するとCrossなのな。さしずめ異文化交流がテーマということか。フランス人の気質の描写が正確かどうかはわかんないんだけど、文化は違えど人を思い遣る底流の部分は共通だよなんてのが言いたいような気はするが。

*1:カミーユって男の名前じゃなかったっけ?。某ロボットアニメのキャラはともかく、作曲家のサン・サーンスも名はカミーユだったし。