【石工組合】湯駄屋の陰謀【啓蒙協会】48

879 :レブリガーテロッセ ◆wGBUioIHjU :2010/01/28(木) 17:00:05 id:xu0S8WLq
「お役所研究」のための地ならし的雑談 その1

天下り」ってのを組織工学的に考えるとだね、キャリア(幹部登用組)と一般職(下士官登用組)の比率に起因するのが分かるんだよ。仮に10対1だとするね。キャリアを一人採用するには、民間で言うところの「一般職」を10人採用しなけりゃならない訳。まあ、公務員で言う一般職には、キャリアも含まれるんで、一行目の表現は誤解を招くね。要するに、幹部(士官候補生)を一人採用するには、兵隊(下士官、ソルジャー)を10人採用しなけりゃ、指揮する隊員のいない指揮官だけの組織になっちまうから幹部自身が困るんだよ。

でもね、雇った幹部候補生がすべて将軍になり、師団長になり、元帥になれる訳ではないよね。
文官で例えると上級試験を通った全員が、定年までに局長になり、事務次官になれる訳ではない。
出世の速度とそれぞれの”極官”に差が生じるのは、当然だ。民間で言う、子会社出向とか、役所で言う外郭団体へ栄転(本当は左遷)すると言うのは、勝負づけの終わった者たちを処遇するポストとして必要不可欠な人事異動なんだよ。

これは人情から言ってもそうならざるを得ないんだ。終身雇用、年功序列の制度を維持する必要コストなんだ。だから、おれは”天下り”云々ですべてを否定したくないんだよ。人情は大切だろ?



880 :レブリガーテロッセ ◆wGBUioIHjU :2010/01/28(木) 17:01:23 id:xu0S8WLq
お役所研究」のための地ならし的雑談 その2

でもね、この人情が曲者(くせもの)なんだ。だって、武官の場合ね、幹部たちが、同級生や故郷の後輩を引き立てる場合があり得るだろ?それだけならまだしも、省内に入ってからゴマをすってくれる可愛い後輩とも出会う訳だよ。同じ釜の飯を食った者同士とか、気が合うとか、派閥とかね。すると、関心事は天下国家ともう一つ、省内の人事が最大の関心事つー情けない事が起こるんだよ。可愛い後輩を出来るだけ、引き立てたい、自分の派閥の後輩を師団長に昇格させたい、ポストをよこせ、つー猟官運動の徒輩に堕ちてしまうんだ。情けないね、ほんと。

これが、帝國陸軍では本当に起こったんだよ。支那事変が早期に解決しなかったのには、ポストを望む将軍たちが、ポスト(師団長)の増加の為に戦争の拡大を歓迎した、と言うことが原因しているんだ。予備役は現役に。佐官は将官に。ポストのインフレを歓迎する機運が漲(みなぎ)って、満州平原で黒雲のように立ち上ってたんだな。これをおれたちは「軍国主義」と呼んでいるんだよ。

ここをイルミに衝かれちまったんだ。だって、椰子らは悪魔だからね。欲望に取り憑かれた亡者を発見する嗅覚は超一流さ。そんなにポストが欲しいのかい、なら戦争が一番だよ、つーもんだよ。
おバカな将軍たちの耳元でそう囁(ささや)いたんだろうね。一発で引っかかっちまった。



881 :レブリガーテロッセ ◆wGBUioIHjU :2010/01/28(木) 17:03:08 id:xu0S8WLq
「お役所研究」のための地ならし的雑談 その3

今、おれは、おバカって言ったけどね、こう言う将軍たちはみんな、陸士の試験を通った、超エリートなんだよ。受験競争の勝利者たちなんだ。頭良かったはずなんだ。だけど、実際、やった事は、国を破滅の淵に追いやる愚行なんだよね。

さて、おれが、言いたいのはね、そんな事ではなく、この組織工学上の失敗を生かす、アカデミックな研究が全然、大学で研究されていない、わが国の「プラグマティズム的研究の非実用的実態」を指摘したかったのだ。これがなされていない証拠に昨今の天下り批判や年功序列批判があるんだ。天下りにも年功序列にも功績は存在する。ここが重要なのだ。これは、アカデミズムの仕事だ。マスコミや評論家、一政党の政治屋風情の思いつきで論じるテーマではないはずだ。

研究サンプルは存在する。帝國陸海軍だ。あるいは、霞ヶ関の官庁だ。あるいは、大企業の興亡を含めても良いかも知れない。今、おれが大学生なら取り組むんだがな。現役の大学生のみなさん、どうです?研究するに値するテーマだと思いませんか?”エリートたち”を止揚してみませんか?