君に届け 第10話

 胡桃沢の猛攻。
 中学時代のエピソードを聞くと、どうも胡桃沢は風早が当時女に興味がないのを知っていて、わざと撃沈させにいったという策士ぶりだったように思える。部活動に熱中してたら、あの年頃だと女なんてって感じだろうしな。告白したい女にとっては胡桃沢は仲介をしてくれた恩人であって、まさか結末を知って吶喊させられているなんて思いもしないだろう。で、撃沈が続いて「どうやらおかしいぞ」と思われる前に共有宣言。もちろん胡桃沢もお手つきできなくなったわけだが、他の女に取られるよりはマシだろうという判断をしたに違いない。
 しかし、ここに到って胡桃沢が仕掛けてくるってのは、よっぽどあせっていたに違いない。風早と爽子が接近中であるのは丸わかりにせよ、風早にとって爽子は数ある女の中の一人ってほのめかしがどれほど意味のあることか、判断ミスのような気がする。別に胡桃沢の味方をするわけではないが、仮に自分が二人を引き離すとして、やっぱ誤解を招くような噂を撒き散らすのが効果的と思ってしまうんだが、まぁその線は矢野・吉田との友情エピソードで消えてるからなぁ。まぁ今となってはだけど、爽子がクラスでまだ浮いている状態の時に仕掛けておくべきだったかも。そもそも爽子の好感度が上がるって事態がありえないことではあるけどな。普段から風早と顔つなぎしとくべきだったろう、胡桃沢もと思うが、それもしていたっぽいしな。不運としか。
 胡桃沢が風早との仲を取り持つ手伝いを爽子に依頼するってのも、勇み足っぽいな。そもそも胡桃沢は爽子を見誤っており、冷静な状況判断をしてからのほうがいいとは思うんだが、それじゃぁ物語が進まないしな…。しかし、爽子もいい娘なんだが、胡桃沢もそんなに性格が悪いってほどじゃなくって、むしろ機転の利く娘じゃないかと思ってしまう。脇が甘いが。結構人間としてのレヴェルは高いと思うんだがな。爽子に風早を諦めさせるよう努力する場面を見ても、人を傷つけないってラインをギリギリ保ちながら交渉してるんだよな。爽子のアテ馬になっているのがつくづく惜しいというか。