シゴフミ 第12話「シゴフミ」

 父にも母にも見捨てられた少女が、なぜ自分を手に入れることが出来たか?。
 うーん、なんか急だな。前話でアタリをつけていたことも、本当はどうだったのかよくわかんなかった。キラメキを告訴したのはミカのほうだと思っていたんだけど、そうではないっぽい描写のようだった。夏香の取り乱し方がちょっとね。@千葉紗子の演技は余韻が感じられる心地のよいものではあったのだけど。政治批判的なものも巧妙に埋め込まれて*1表面には現れにくいように作ってあるのかな。
 最終話の構成として、今までのエピソードがうまく繋ぎ合わさっていたと感じた。あ、この雰囲気どっかでみたことあるなと感じるのは、それとよく似たものが前に示されているといったところか。弱い自分と向きあい、弱さを認めた上で自分から動き出す。フミちゃんと視聴者を重ね合わせさせているわけで、彼女をはじめ、周囲のキャラクターも何はともあれ自然と体が動き出すという描写でEnd。いけないというほどでもないんだけど、ちょっと安っぽいサルトル風の実存主義っぽく感じた。
 センセーショナルな始まり方をしていて、ちょっと過激性に期待していたのだけども、割とフツーに収束していったんではなかろうか?。第3話だか4話だかで、表現を修正した回があったとアナウンスがあったようだが、ホントかね?。実はもとから放映用フィルムと同じで、話題性を獲得するためのブラフなんじゃねぇの?と疑ってみる。別にゲストキャラ達の動機も想像のナナメ上を行く突飛なものでもなかったし、そんなに心に衝撃を与えるほどのものでもなかったかな。ただ、死後文というギミックがそんなに必要なものだったか?と言われれば、別にそんな設定なんて要らなかったんじゃねと思う。それより死後文配達人の服装に周囲の人間は違和感を感じるべき。もっとツッコめ。
 というわけで終わってみれば、状況は厳しいが、ヘコたれずがんばれ!という応援歌的なものであったように思う。極言すれば「レッツゴー!陰陽師」か。あの歌の矢部野彦麿の語りでも聞いてろ!ってとこですかね?。こっちなら5分ちょっとで言いたいこと言い切っているし…とまぁ冗談はさておいて。
 でもまぁ普通に視聴してたら、誰にでも何かしら胸に迫るものはあると思いました。初めの数話でネガティブなイメージを持ってしまったような人を感想サイトさんあたりでよく見かけましたが、さすがに見切りはもったいないとは思う。確かに出来はいいし、要所要所で泣けもするのだが、自分的にはどうにもこれじゃなきゃって訴求度は弱かったような気がする。その大半はセンセーショナルなところがだんだんとしぼんでいったところにあるとは思うんですが。雰囲気作りには成功しているし、音楽も絵もよかったと思う。ゲストキャラのエピソードもまとまっているし、特に評価を落とす要素は見当たらないので、おもろ+ではあるのだが、どうにも物足りない感は拭えなかった。

*1:例えばキラメキなんかはどう考えても子鼠のメタファーだと思う。耳心地のよい言葉に愛読者がキラメキに対して何の批判も無く、自分が醜いのは自己責任とばかりに自殺に追い込まれてしまうところなど。